「ふう。やっと寝たか。」


夕飯の後のちび達の面倒を見るのは僕の役割だ。


ちび達もちび達で元気いっぱいではあるが、普段は父さん達の方がうるさいくらいなのに、今日は圧倒的にちび達の方が盛り上がっていた。


一息ついて、携帯を開き、暇潰しに数独ゲームを始める。

別に楽しくはないのだが、脳トレと遊びの中間くらいで、なんとなく納まりが良い。


しばらく夢中になっていたが、気付くと時間は夜の12時。


トイレだけ済ませて寝ようかと思い、一旦部屋を出る。


割と静かな大人の部屋の方が気になり、トイレ戻りに何となく様子を覗き込む。


すると、

陽介おじさんの周りにみんなが集まって、肩をさすっている。


盗み聞きをしたい訳ではなかったが、なんとなく話しの内容を聞いてしまう。


「修くんも頑張ったんだよね。」


「身体辛いだろうに、いつも笑顔だったもんね。」


「ほんとに良い子だったよね。」


「あんな小さいのにねぇ、ほんと。」


修というのは、もう一人の従兄弟のことだ。


修はちび達の中でも一番といっていいほど俺に懐いていた。

去年で、小学校2年生だったかな。

身体が弱かったがとてもおりこうさんな子どもだった。

車椅子に乗って移動することもあり、たまに押してあげていた。

なぞなぞとかが好きで、俺にもよく問題を出してきていた。


― そうだったんだ。。。修が。知らなかった。 ―


おじさん達の話を聞いていると、修が先月死んでしまった、と。


涙が出るほどの深い交流はなかったのだが、胸が締め付けられる感覚がある。


死、というものがどういうものなのか分からない訳ではないが、この時の俺には遠いものに思えていた。

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