3日ぶり
「今日はあそこ行ってみようか。」
お墓参りやらちび達の相手やらで何となくバタバタして、散歩の日から3日が経っていた。
あまり乗り気ではないのだが、『また会えたら』と言ってしまった手前、何となく罪悪感のようなものを抱いていたのだ。
例の場所まで行くと、前回と同じように体育座りでテトラポットに座っている女がいた。
『あいつかな?』と思っていると、
「おっ、来た来た。」とその女が立ち上がり、こちらを向いて手を振りだした。
顔はよく見ていないが、声で分かる。あの女だ。
「おう、久しぶり。」
女が手を振っていたので、こちらも軽く手を振る。
「うんっ!」
「悪いな。中々来れなくて。」
俺は一応謝罪をする。
近付くと女の身長が何となく分かった。頭の位置が俺の胸のあたり、大体150センチくらいだろうか。
「お、意外と優しい人だ。」
「意外と、ってなんだよ。」
「あはは、ごめんごめん。まあ座ろうよ。」
「そうだな。」
「にしても、女子ってたいへんだよな。」
「ん?」
「この暑いのに、日焼け対策で長袖着たり、なんかクリーム塗ったりしてさぁ。」
「あー。。。まあ、そうだねー。日焼けは女の敵だからねっ!若いうちから対策しておかないと、20歳越えてから色々大変なことになるらしいよっ。」
「そうなのか。でも、かと思えば、冬には短いズボンとかスカート履いたりしててさ、なんか面白いよな。」
「ミニスカートかぁ。いいなぁ。。。」
「なに、履いたことないの?」
「ん、あ。私似合わないしさ。」
「ふぅーん。」
「また出た。『ふぅーん。』」
「あ、いや。ごめん。でも、似合わないことはないかなと思って。」
「そう、かな?」
「うん。たぶん。」
「たぶんか。、、、まあいいわ。」
「そろそろ戻るね。」
「おう。」
「あ、ね。君、なんて名前なの?」
「ん?俺は、智仁。桐生智仁。」
どんな字書くの?友達からなんて呼ばれているの?と聞かれたので話をすると、
「じゃあ、私は『ともに』って呼ぶね。またこれくらいの時間に。」と言い、女は手を振りながら3日前に指をさした方向に去っていった。
「え、『ともに』って何?ちび達の『智兄(ともにぃ)』みたいじゃん。」
俺は何となく、女とちび達を重ねてしまっていた。
「子守が増える。。。」
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