帰省

「あら、ともちゃんまた大きくなったねぇ。」

「ともにぃ、遊んでー。」

「おー、ともひと。元気してたか?」


「おじさん、おばさんお久しぶりです。健次もよろしくな。」

俺にとってはこの時間もわりと苦痛だ。

親戚と言っても年に一回、顔を合わすだけの他人。

血の繋がりはあるとはいえど、受け入れるのは至難の業のように思えて仕方がない。


「今年はゆっくりできるんか?」


「今年も同じだよ。ともも大学受験の年だし。」

いかにも俺が原因であるかのように、おじさんの問いに親父が答える。


「ともちゃんは一人っ子やからねぇ。来年になったらゆっくりできるようになるわいね。今年は今年で、こっちいる間はゆっくりしていきなさいね。」


もうすでに何組かの家族が集まっているようだ。

正直、兄弟姉妹関係の家系図が全く分からない。

たまに「あんたはお婿なんだから。」とか聞こえてくるが、誰のことを言っているのか、そしてお婿だから何なのか、さっぱり分からない。


「とも。いつもの部屋に荷物置いて来てくれ。父さんたちは色々準備してるから。その後、ちびたちの面倒もよろしくな。」


「はあーい。」

親父の指示で、家族3人分の荷物を毎年使っている部屋に持っていく。

例年、この借部屋で片付けをしていると、親戚の子どもたちが何人かやってくる。


ほら、今年も。


「ともにぃだ!」

「ともにぃあそぼー。」

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