第2話 家事効率、爆上がり!? 主婦、美咲。スライム狩りでご満悦
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「——あら、奥さん最近肌ツヤいいじゃない。新しい化粧水でも?」
「えっ!? え、あ、いやいや、ちょっと除菌スプレーが良くって~」
「除菌スプレーで肌ツヤ!?」
「ご、ごめん言い方おかしかった!」
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翌朝、近所のスーパーでママ友と立ち話。
美咲は内心バクバクだった。
だって、昨日——人生初ダンジョンに潜って、除菌スプレーを拾って帰ったなんて、
言えるわけがない。
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それは現代の主婦たちにとって、ちょっとしたステータス戦争に発展する話題でもあるからだ。
「えっ? 家にダンジョン? やだぁ~便利~! うちなんて庭にタヌキ来たくらいよ~(笑)」
「ウチの旦那、ダンジョン副業しろって言ってるけど、体力なくてね~」
「この前◯◯さんとこ、ダンジョン内の収穫で米袋30kg拾ったって話よ!」
……などなど。
現代では、主婦界隈の会話にも**「ダンジョン」という単語がごく自然に混ざる**のだった。
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帰宅後、美咲は速攻でリビングの掃除に取り掛かった。
昨日拾った《除菌スプレー(高性能)》は、確かに「家庭用」に使えると書かれていた。
恐る恐るソファ下のホコリに向けて吹きかけてみる。
しゅっ。
するとどうだろう——
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ぶわっ!
ふわりと黄金の光が舞い、ホコリが一瞬で蒸発!
代わりに、うっすらとシトラスハーブの香りが広がった。
「な、なにこれ!? フローラル系魔法?」
掃除機をかけた後の、あの微細なホコリすら消えている。
肌も乾燥しないし、なにより——やたらと気分が上がる。
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【家庭補助スキル:《家事テンションアップ(Lv.1)》 発動中】
効果:家事中の気分上昇、疲労軽減、家族の機嫌+10%
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「え、こんなスキルまであんの!?」
美咲は内心、踊り出したい気分だった。
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昼過ぎ、冷蔵庫の中をのぞいたとき、彼女は気づく。
「……材料、足りないかも」
そう。家計は常にギリギリ。冷蔵庫に魔法は使えない。
だからこそ、彼女はもう一度——あのダンジョンの階段を降りる決意をした。
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🌿ダンジョン探索2日目
今回の装備:
虫取り網(洗浄済み)
軍手(ゴム付き)
保冷バッグ(万一のドロップ収納用)
主婦魂(レベル:自覚なし)
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地下1階に再び降り立つ。今日もそこには、ぷるぷる跳ねる青スライムたち。
そして今回——持っていた虫取り網ではなくなぜかほうきが初期装備として手に握られていた。
「……えっ、標準装備ついた!? これマイダンジョン、レベルアップしてる!?」
どうやら、美咲がダンジョンに「親しみ」を感じ始めたことで、何らかの内部成長が起きたらしい。
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【新スキル獲得!】
《主婦の本気・掃除編(Lv.1)》
・掃除道具の攻撃力+100%
・スライムへのクリティカル率上昇
・アイテム「ピカピカスポンジ」ドロップ率上昇
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「もはや主婦スキルが戦闘スキルなんよ!!」
突っ込みながらも、ぴしゃんぴしゃんとスライムを掃除する勢いで退治。
ほうきを振る動作が完全に「掃除」のそれなのが面白いが、
敵がどんどん消えていくのは事実だ。
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約30分後、美咲は保冷バッグに以下の戦利品を入れていた:
ピカピカスポンジ(超撥水)×2
洗剤ポーション(オールインワン)×1
謎の卵(※温めると孵化するかも?)×1
不思議なレシピカード×1
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帰宅後、彼女はそのレシピカードをじっくり読んだ。
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【ダンジョンレシピカード】
《やみつき!魔力キャベツとチーズのとろ~り春巻き》
材料:魔力キャベツ(Dドロップ)、とろけるチーズ、薄皮、調味料
効果:スタミナ回復+小、幸福感上昇
※美味しく作ると、次回探索にボーナスがつきます。
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「やば。ご飯でバフがかかる系だ……!」
思わず唾を飲み込む。
そしてその夜——
藤堂家の食卓には、奇跡のレシピによる**“とろ~り春巻き”**が並び、家族は大歓声を上げた。
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「ママ、これ超うまい! なにこれ!? お店出せるって!」
「ん~、ちょっとレシピ参考にしただけよ~」
「お母さん、最近ほんと調子いいね。なにかいいことでも?」
「ふふ……そうねぇ、家事がちょっと……楽になった、って感じかな♪」
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こうして、誰にも知られず、主婦・美咲の**「ちょっとだけ不思議な成り上がりライフ」**が始まったのだった。
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