第4話 燃費と弾薬

草原でドイツ1号戦車を乗り回し、その性能をいろいろ試しているうちに、いくつかの重要な事実が判明した。


まず、燃料についてだ。戦車の燃料計は、俺の魔力に連動しているようだった。俺の現在の魔力は35。そして、それがそのまま航続距離に変換され、35km分しか走れないことがわかった。これは思ったよりも短い。森や街道を少し走っただけでも魔力が減っていくのを見て、俺は思わず頭を抱えた。


「これは…燃費が悪いってレベルじゃねえぞ…」


次に、7.92mm MG 13機関銃の弾薬だ。これもまた、予想外の仕様だった。弾薬は物理的なものではなく、モンスターを倒した際に得られるポイントを消費することで補充されるらしい。しかも、このポイントはモンスターの強さやレベルによって異なり、さらに俺自身のレベルアップに必要な経験値としても機能する、ということが鑑定スキルで分かった。


つまり、弾薬をガンガン消費すれば、それだけレベルアップが遅れることになる。死活問題だ。


「弾は大事に使わないと、あっという間にレベルが上がらなくなる…」


戦車の維持と自身の成長のバランスをどう取るか。いきなりのジレンマに、俺は唸った。


しかし、立ち止まっている暇はない。金貨は残りわずか。このままでは本当に野垂れ死んでしまう。


「よし、まずはゴブリン討伐だ!」


あの時、偶然とはいえゴブリンを倒し、戦車スキルが発動した。あの成功体験は、俺にわずかな自信と希望を与えてくれた。それに、ゴブリンは弱く、経験値の消費も少ないはずだ。


俺は戦車のエンジンを始動させ、ゴブリンが多く生息すると言われる森の奥へと足を踏み入れた。7.92mm MG 13機関銃の薬室に、ポイントを変換した「弾薬」が装填される。頼むぞ、相棒。


森の小道をゆっくりと進む。周囲の木々はますます深く、鬱蒼としてくる。やがて、遠くからあの不快な鳴き声が聞こえてきた。


「ギャギャ!」


姿を現したのは、数体のゴブリンだ。以前遭遇した時よりも多い。しかし、今俺には、この心強い相棒がいる。



俺は操縦レバーを握り、ゴブリンに向けて戦車の向きを調整する。そして、機関銃の照準器を覗き込み、トリガーに指をかけた。



「いくぞ、ゴブリン!」


機関銃のトリガーに指をかける。低く唸るエンジン音と、高鳴る俺の心臓の音。異世界での本格的な戦闘が、今、始まろうとしていた。

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作者からのお願いです。 やる気につながりますので 

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