第3話 路上教習
ゴブリンを倒し、ついに手に入れたドイツ1号戦車。興奮冷めやらぬまま、俺、タイチは周囲を見回した。
「で、どうやって出すんだこれ…?」 「戦車召喚!!」
俺がイメージすると、目の前に突然、全長4メートルを超える無骨な鉄の塊がヌッと現れた。森の中に不釣り合いな存在感。これが俺の相棒か!
車体は、さすがに年季が入っているように見えるものの、それでも俺の心を震わせるに十分だった。興奮しながら操縦席のハッチを開け、中を覗き込む。
「うわ…狭い…」
中には、操縦桿やレバー、そしてたくさんの計器が並んでいた。地球にいた頃にシミュレーションゲームで散々見てきたコックピットが、今、目の前にある。感動だ。
俺は躊躇なく狭い車内へと潜り込んだ。なんとか体を収め、シートに座る。
「さて、エンジンスタート…っと」
頭に浮かぶ情報でマニュアル通りにレバーを操作し、ボタンを押す。
ブルルルルン…!
低く、しかし力強いエンジン音が森に響き渡った。振動が全身に伝わり、俺は思わず鳥肌が立つ。これだ、この感覚だ!
「よし、動かすぞ!」
ギアを入れ、操縦桿を握る。ゆっくりと、しかし確実に戦車が動き出した。俺はアクセルを踏み込み、戦車は唸りながら森の中を進んでいく。
路上での最高速度は時速37km。オフロードでは時速12km。決して速いとは言えないが、徒歩で移動していた俺にとっては、まさにチート級の移動手段だ。何より、この圧倒的な重厚感がたまらない。
森を抜け、開けた草原に出る。俺は慣れない操縦で蛇行しながらも、少しずつ操作に慣れていった。
「くっ、意外と難しいな…」
馬車の操縦があまりにも絶望的だったため、正直不安もあったが、不思議と戦車の操縦は、俺の体に染み付いているかのようだった。まさに、戦車オタクの本領発揮といったところか。
「次は、武装の確認だ!」
ドイツ1号戦車の武装は、7.92mm MG 13機関銃が2門。砲塔を旋回させ、草原の木々に向けて照準を合わせる。
ダダダダダダダダダ!
機関銃が火を吹き、弾丸が木々に吸い込まれていく。その破壊力に、俺は思わず歓声を上げた。
「すげぇ…!これなら、どんな魔物だって…!」
ふと、俺は考える。この戦車は、この世界でどう見られるのだろうか?まるで生き物のような姿の魔物ばかりのこの世界で、鉄の塊が高速で移動し、鉛玉をばら撒く姿は、きっと驚きをもって迎えられるはずだ。
「よし、まずはこの戦車で、生き残る道を探すか!」
俺はレバーを握り直し、新たな決意を胸に、戦車とともに草原を駆け抜けていく。戦車スキルで生き残れ!タイチの異世界サバイバルバトルは、今、始まったばかりだ。
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作者からのお願いです。 やる気につながりますので
星の★★★ 評価 よろしくお願いします。
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