第6話
右向け、右。
A:何が見えますか?
Q:緑が見えます!
もう一度、右向け、右。
A:何が見えますか?
Q:緑と、チンパンジーが見えます!
・・・・・・どこを見ても、目に映るのは緑ばかり。
え、ほんとに、ここどこ?
僕、湯船に浸かってたよね?
ちゃんと、ジャングルの湯船とかじゃなくて、家の湯船に浸かってたよね?
なのにちゃんと服着てるし。
I am from Japan.
うん、間違いない。僕の出身は日本だ。
けれど、日本にはこんなところはない。
つまり、ここは日本ではない。
うん、僕にしては素晴らしく整った理論だ。
ほほう、ここは日本ではないんだね、じゃあ、どうしようか?
・・・なんて素晴らしい思考ができる方はもはや人外と言っていいだろう。
「うん、これは夢だ。そうに違いない。」
そう考える人がほとんどだろう。
現に、僕が取った行動は、
「寝る」だった。
つまりは、全力で現実逃避をしにいったのだった。
目が覚める。
目の前に顔。
茶色い毛が生えていて、人間に似た顔立ちで、木にもいるやつ・・・
あぁ、チンパンジーか・・・
「は!?」
寝ぼけていた思考が一気に叩き起こされる。
あれ、まだ夢から覚めてないのか・・・?
頬をつねる。
受け入れたくないけれど。
思い切りつねった頬は・・・ちゃんと痛かった。
「痛っ・・・。でも、てことは・・・」
認めたくなかった。
受け入れるしかないとは分かってる。
でも、自分がこのジャングルで生き残れるとは考えにくかった。
だから、受け入れてしまえば、それはすなわち自分を殺すことになってしまうのだ。
ジャングルにいるのは受け入れられても、
自分が死んでしまうのを受け入れられるわけじゃない。
ぽつり。
額に一滴の水滴が当たる。
その水滴は頬を伝って流れ落ちていった。
その一滴を始めとして、すぐにザーという雨の音が聞こえてきた。
せめて雨宿りできるところはないかな。
とりあえず雨をしのげそうなところを探そうと、僕は重い腰を上げたのだった。
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