第3話 邪教

 フードの付いた赤色の和装に身を包むと蒸し暑い熱帯夜に駆り出された。「皆様こちらを持ってください」彼女が僕たちに提灯を持たせた。「ついてきてください」そうして僕らは虫の声と木々を掻き分け滝に着いた。どうやらまだ大人たちも同行しているようだ。ふと、神主らしき男が祝詞を唱えだした。僕らは静かに耳を貸す。「では一歩出て、目を瞑ってください」言われたままに目を閉じる。滝のマイナスイオンが顔を濡らしているのが分かる。すぐ前は滝つぼなのだ。ふと後ろからフードを掛けられた。「私たちはもう戻ります。知っているとは思いますがもう一度話します。ここから山頂を目指してください。山頂には社があります。社を見つけたら入ってください。そうして一晩そこに居てください。そうすれば貴方たちの役目は終わります。あと一つ絶対に一人で行動せず、寄り道も禁止です。では神のままに」ドンと背中を押され僕は体制を崩した。バシャんと隣から音を聞き僕もすぐに音を立てた。

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