第2話 奇祭

 今夜は僕の住んでいる町で一番大きな祭りである飾國(カザクニ)祭りが開催される。そして毎年この町の子供が十人選ばれる。選ばれた者は狩人と呼ばれ、選ばれる条件は簡単である。

 一 十五歳以上十八歳未満の男子である者 

 二 怪我をしていなく健康である者

 三 恋人がいなく性行為をしていない者

 四 一度も狩人に選ばれたことが無い者

 五 容姿が端麗な者

 この五つが基準であるそうだ。告白されたこともある僕は容姿だけは美しかったようだ。

 会場に着くと僕を含め八人の子供がいた。そんな大きな町じゃないにもかかわらず面識がある人は二人しか居なかった。「おぉ葵じゃんか元気してたか」中学校で同じクラスだった倉上と山門である。二人とも爽やか系な美少年で眩しい。「じゃぁ皆揃いましたのでこちらに来てください」札を首からぶら下げた女性に連れられて僕らは倉庫に入った。どうやら赤い和服に身を包むらしい。「荷物はすべてここに置いて行ってくださいね」そう言い彼女は出ていった。蛍光灯の下、僕は辺りを見渡す。全員イケメンで可笑しかった。まるで映画のワンシーンのようだ。「お前も着替えろよーほら」そう言い僕のズボンに手をかけた。「ちょ、山門」そう言う前に手を下げられた。全員に僕の僕を見られ僕はもう辞めようと思った。「あっ、ごめんごめん、全部下げちゃった」そう笑う山門につられ倉上も笑いだす。すると一人また一人と笑いだし、僕は結局男子なんだなと笑った。

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