カザクニ様

四季式部

第1話 日常

人は常識や現実から少し外れた世界を見るとどうやら怖いと感じるらしい。世界なんて興味ない癖に。

僕は幼い頃から人とは違う世界を見てきた。そうしてやっと世界に興味を持つようになったのは大学生に入ってからである。ただ、高校一年生の祖父が亡くなった時期にも同じような感情を持っていたと思う。そんなあの日の夏は世界を知るきっかけとなった。

 

虫の声さえ五月蝿いと感じていた夢の中、眼を開けるとそこは寝室であった。当たり前である。どうやら午前中に宿題をして疲れ果てて寝てしまったようだ。デジタル時計には17:40と記されている。勉強机に戻り、慌てて数学のワークを広げる。過去の自分は偉く、丸付けまできちんと終わらせていたようだ。カタカタと震える扇風機を見ているとドアが開いた。「アオイ、もうそろだから用意しときよ」生返事をし、地図や熊除けの鈴、暇つぶしになる小説などをバックに入れ夕焼けのチャイム同時に家を出た。

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