第2話

今日は図書館に文書読本を借りに行った。文書読本とはそれなりにキャリアを積んだ文筆家が、自由気ままに文書というものについてあれこれ物申す本のことだ。


この類の本には、文章でなにを表現出来て、何を表現出来ないかが著されている。嬉しいことに僕の研究したいテーマがこれだ。人は何を書けて、何を書けないのか、それは何故か、どうしたらもっと上手く書けるのか、それを文書読本を通して説教してほしかった。前の日記の終わりにボソッと語ったのはこのことだ。唐突すぎてなんのことやらと思っただろう。


ついでに断っておくと、僕はあえて「前の日記」という表現をする。「昨日の日記」とか「1話目の日記」という表現もできるのだが、何かの拍子にこれが昨日の日記ではなくなってしまったり、2話目とか3話目とかになってしまうかもしれないから、それを避けるためにこういう抽象的な表現を使っている。少なくとも、これより前の日記になることだけは確約されるはずだ。


そんな文書読本、響きは古臭い本だが借りたのは近代的でオシャレな図書館だった。ジェンダー意識、環境問題、デジタルアート、専門書、と色々な棚が並ぶ中、文章術の棚に来ると端の方に文書読本が納まっていた。ペンプロッターのインスタレーションが置いてあるような場所なのに、意外と硬派な本も置いてあって感心した。綺麗なだけの図書館とかなんの価値があるんだと思っていた時期もあったが、学生は多いし整った格好の人が来ていて居心地がいい。なるほどありだと思い直した。


その晩こうして日記を書いている。この忙しい時期に2週間の貸出期限では読み切れるか不安だが、頑張ってみよう。どうせ忙しいのは今月だけだ。来月は仕事も落ち着くだろう。多分。

以上。


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