第4話 短め詰め合わせ
催眠とは
「催眠魔法のやり方?そうですね…説明が難しいですが…今私の魔力はどんな感じですか?」
「それは…なんかうねうねしてるけど…?」
「感情に合わせて魔力は揺らぐんです。ちなみに私は今えっちな気分です。」
「………」
「そんなに警戒しないでください。今すぐには襲いません。…それで魔力は感情ごとに揺らぎが違うんです。そこで逆転の発想。魔力の揺らぎを変えると感情も変わることに気づいたんです。」
「…そんなことあるの?」
「あるんですよ。だから私のこの膨大な魔力で包んで…少しだけ変えてあげるんです。そしたらあとは勝手に勘違いして墜ちてくれます。…さて気分はどうですか?」
「…っ…お前…」
「ふふ…中々面白い導入になりましたね。ほら、こちらへどうぞ?」
「……原理が分かれば対策できる…」
「駄目ですよ。そんなに敵対心を出しては。ほら…力を抜いて…?」
「っ…やめ…」
「私の声に集中して…私の体温に集中して…あぁ…安心しますね…?」
「…………」
「いいですね…さ、こちらへ…」
………………………………………………
吸血
「…今日も…お願いできますか…?」
自信なさげに問う。私に吸血させてくれるのは彼女だけだから。彼女に見放されたら…私は…
「いいよ、おいで…」
そんな杞憂を溶かすような優しい声で私を受け入れてくれる。軽く広げられた腕の間に私は収まり、そのまま抱きしめられる。身長が高い彼女の体に私は全身包まれる。いつもこの感覚に酷く安堵して涙が滲む。
「よしよし…」
追い打ちと言わんばかりに頭を撫でてくれる。このまま泣き出してしまうと吸血どころではなくなってしまうから我慢する。
「じゃあ…吸血します…」
震える小さな声で宣言し、彼女の柔らかな首筋に牙を立てる。真っ赤な血が漏れる。舌で掬って嚥下する。とても甘い。しかし甘いと表現するにはあまりに複雑。真に体が欲しているもの。彼女に優しく守られながら、甘美な血を味わう。
「ありがとう…ございました…」
吸血が終わると彼女は必ずキスしてくれる。軽く、しかし優しくとても甘いキス。数回キスを交わし、しばらくしたら離れる。
「またいつでも言ってね。待ってるよ。」
……………………………………………………
被吸血
「…今日も…するよね…?」
今やルーティンと化した吸血。ベッドに寝転んで彼女を待つ。
「ん〜なんか待っててくれるのえっちだね。」
「…うるさい…」
彼女は私に覆いかぶさる。最初は腕から吸血してたのに…最近は恋人のように寄り添って首筋に顔を埋める。
「……っ………ん…」
吸血の始めに首筋にキスしたり舌で舐めたりされる…いつの間にかこれに体が敏感に反応するようになっていた。そしてこれはただの前戯ではない。
「…っ……はぁ……はぁ…」
多分強心作用がある。強制的に心臓が拍動して、血管にきゅーっと圧がかかって苦しいようで気持ちいい…頭もぼーっとして…
「ふふ…すごくかわいいよ…」
彼女はそう言って私に噛み付く。痛みと快楽が同時に訪れ、意識が蕩ける。無意識で彼女に縋るように抱きついてしまう。そんな私の一挙手一投足を彼女はとても愛しそうに見つめる。
「今日もありがとう…大好きだよ…」
…………………………………………………………
行場のない詩
朝は窓から空気が抜けていく。
生徒たちの熱気が校舎の空気を上に運ぶからだ。
登校の達成感と少しの憂鬱が上階から抜けていく。
午後は窓から空気が入ってくる。
度重なる思考が二酸化炭素となって床を這っていくから。
古くなった組織が捨てられるように空気が玄関から抜けていく。
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