第7話 資金提供人
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企業、又は、個人に資金を提供し、宣伝を行なってもらう者、或いは、会社。雑に言えばこんなもん。
いや、何でこんなのを知っているのか。この魔王は。
「『どうしてこんな事を知っているか?』そんな顔をしていますよ。アラン君」
「ええ。魔王の知識が」
「そうです。今回の事によく似たことが各地で起きていまして」
「へ?」
話を遮り、急に立ち上がる神父。怖い。
「今回のケースだと、教会の記録に残っているだけでも3、4件」
多いのか少ないのか反応に困る件数だ。
「かくいう私も、同じ様な問題を解決した事がありまして」
なるほど、経験者でしたか。コチラに近づきながらニッコリと話す神父。なんか怖い。
「あの時の旅はとても貴重な体験でした」
腕を組み上も向く神父。あの頃を思い馳せているのだろうか。
グリン!と急にコチラを向き、指を一本上に立てる。さながら教師のようだが。やはり怖い。
「魔王達が残した遺品や亡骸。或いは、場所など、様々な呪物があります」
部屋の中を。目の前をウロウロとしだした。冷静沈着な神父様には珍しい、落ち着きが無い動き。
「歯や骨。盾や剣。服や鎧もありましたね。後は、亡骸が安置されていた場所の土や、この様な石なんかもね」
手に持っていた石に指差す神父。
「魔王の魔力や残滓が結びつき。呪われてしまった物。ソレがこの呪物です」
にっこりとしながらコチラを見ている。なんだか怖い。
「ところでアラン君は『漂流者』の事を知っていますか?」
一歩下がり聞いて来た神父。
「
強大な力を持ち。悪いドラゴンや魔王を打ち倒す物語。伝承など。
「ええ、御伽噺に登場する『勇者』や『賢者』達がそれである。そう言われてますね」
頷く。
「ですが、御伽噺で出てくる『勇者』や『賢者』は『漂流者』では無いのです」
夢が壊された気分だ。
「『漂流者』とは『強大な力を持って、別の次元からやってきた人間』である、とされています」
コチラをじっと見つめる。
「ですが、その力のせいで魔王となった者がほとんどでした」
「どうしてですか?」
「我々とは違う価値観が原因と言われてます」
価値観?
「或いは、風習。もしくは、風俗。考え方が根本的に違うようで。だから世界と反発して堕ちてしまう」
堕ちた者。
堕とされた人。
「個人が反発しても社会から弾かれるだけです。ですが、なまじ力が強い為、魔王と呼ばれる様になったみたいですね」
力を持った除け者。馴染めなかった異物。しかし、無視する事の出来ない存在。排除しなければいけない人間。
ソレが魔王。
「ですが『漂流者』の真価はそれではないのです」
逆光じゃないのに眼鏡が光る神父。黒幕みたい。
「別の次元からやってくる『漂流者』」
また、指を一本上に立てる神父。様になってるが、やはり怖い。勢いが強いからだろうか。
「彼らがやってくる世界は、コチラの世界と比べてだいぶ進んでいるようで」
「彼らの呪いを解呪しても記憶や知識は残ります」
なるほど。
「それで、サルベージ」
「そうです」
それはリバースエンジニアリングなのでは?
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