持って生まれた才能。家柄、容姿……。人は、人生は、平等じゃない。でも、自分なら。自分たちとなら、上手くやれるぞ。
そんなふうに、甘い蜜を吸おう、吸わせようとする連中から、仲間(?)と彼女さんを救おうとする三人組。
それに対して、仲間じゃないよ、腐れ縁だ。でも、やっぱり頼りには……なるよなあ、と、得意のツッコミが空振る、今回の主人公、岬井一馬君。
甘い言葉も、囁きも。もしかしたら、も、踏みとどまれる。そう、救いたい彼女がいるから。
認めたくはないけれど、頼れる奴らも、いてくれるから。
名門校の首席な彼が、体を張って守りたい、守るもの。
そして、きっと、友情じゃあないよ、と笑う仲間(?)たち。
シリーズ作品ですが、本作からでもじゅうぶんに輝いております、彼ら、彼女たちの物語を。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
今作はとにかく、悪役の存在感が強烈で、色々と考えさせられることがありました。
本作の主人公である一馬は、親しくしている綾子が何者かに付け回されているらしいことで相談を受けます。
ストーカーか何かかと、普段からつるんでいる麗人や黒川、江平たちと共に対策を考えるが……。
やがて、綾子がなぜトラブルに巻き込まれたのかが見えてくるようになります。
その構図もさることながら、今回はなんと言っても「悪役」として出てくる人物が異彩を放っていました。
これが「現代における悪のリアル」なんじゃないか。
一馬や綾子を窮地に陥れ、裏でも様々な悪事を働く存在。
その人物がこれまでどんな人生を送ってきて、どんな考えを持って今も悪事に手を染め続けているか。
そのエピソードが「この社会のどこかに、今も本当にこんな奴らがゴロゴロいるんじゃないか」と思えるような鮮烈さを持っていました。
人が悪をなす時、どれだけそのことを「悪いこと」だと認識しているだろうか?
悪いことだとわかって覚悟を持って踏み込むか。それとも、最後の最後まで「それが本当に悪いことなのか」と答えが曖昧なままで居続けるのか。
現代だと特殊詐欺なども横行し、人に言われるままに誰かに被害を及ぼす人間も数多くいる。でもそれが悪いことだとは「しっかりと向き合って想像する」ということをしなければわからない。
少しでも見て見ぬ振りをしようとし、「責任」というものから逃げようとすれば、きっと一生曖昧なままで終わってしまう。
そういう「弱さ」や「無責任さ」が時には想像を絶する醜悪さや邪悪さに通じていくこともあるかもしれない。
そんな現代ならではの「悪」が描き出された本作。色々と考えさせられる現代性とテーマ性を持った作品です。
シリーズもののようですが、こちらから初めて読ませていただきました。
読み始めてすぐ、「お、おもしろい...!」とスクロールする手が止まりませんでした。
一番の魅力はやはり、個性豊かなキャラクターたちでしょうか。
最初は4人という多さに覚えられるかしら?なんて思ってましたが、それぞれ全く違うキャラ、かつ、個性的なので、すぐに覚えることができました。
言葉遣いだけで、誰が言ったかわかるようになっていて読んでいても「誰のセリフ?」となるストレスがありません。作者さんの技術ですね!
縦軸は「ストーカー」という重めな事件の話でありながらも、所々に笑いが散りばめられているので、どんどん読み進めることができます。
あと、これは本当に個人的なことなのですが、好きな小説家の作品に、雰囲気が似ていて、まるでその方の新作を読んでいるような気になりました。
最近新作を書いてない方なので、残念だと思っていたのですが、この作品に出会えて、更新にわくわくしています。
ぜひいろんな方に読んでもらいたい、上質な作品です。