麗人・黒川の個性的な男子高校生コンビと、江平・一馬などその仲間たちが大暴れする学園青春サスペンスアクション、「Joker Bullet」シリーズの最新作です。
正統派の学園ものという感じが楽しく、読んでいると仲間の一人になった感じがするこのシリーズ。
ところが、彼らと同じくらいに重要な、本作のもう一つの主人公グループと呼べそうなのが、彼らと対決することになる悪党どもです。
この連中、物語の展開上出てきました、みたいな薄っぺらい存在ではなく、重い背景を背負ったリアルな人間たちとして描かれています。
悪党は悪党だし、行いの外道っぷりからも共感まではできないのですが、悪人というものがどのようにして生まれてくるのか、実感させられる内容となっています。
なお、展開はあくまでも痛快、楽しんで読める青春小説となっていますのでご心配なく。ぜひ読んでみてください。
今作のメインは、「自称」常識人の一馬。
個性的な他の三人に比べると確かに常識人に見えなくもないですが、彼も負けず劣らずぶっ飛んでいるんじゃないかと思われます。
さあ今回の悪役はストーカー! と思ったら何だか様子がおかしい……?
最初は一馬の彼女、綾子のストーカー相談から始まりますが、それがだんだんと不穏な事件へと発展していきます。
必死に綾子を守ろうとする一馬からは、ある種の健気ささえ感じられます。
普通の男子高校生だったら、いくら自分の彼女を守るためでもここまでできないんじゃないかと思います。
彼がぶっ飛んでいる理由もここでわかるはず。
今回はアクションだけでなく、舌戦もあります。
綾子を守る一馬の姿だけでなく、味方キャラの見事な論破シーンも必読です!
そして、悪役側や現代社会について色々と考えさせられました。
一歩間違えれば自分もこうなるのかも、なったかもしれない。想像するだけで恐怖を感じました。
また、今回もいたるところに伏線が散りばめられています。
それをいくつ見つけられるか。試してみるのもいいかもしれませんよ!
シリーズものの四作目(他に短編集もあります)になりますが、この作品から入ってもまったく問題なしです。
これを読み終える頃には、きっと一作目から読んでみたくなるはず。
ぜひ手に取ってみてください!
そんなわけあるかーい!と勢いよくつっこめる作品って小説でも映画でも漫画でも古今東西365日24時間いつどこで読んでもいいものですよね……
綾子ちゃんを遂に助け出せる!!アイツらの出番だ!!!と思った直後にはなんか麗人によって解決してて最高な意味でずっこけました。忘れてたけどアイツらが普通にヒーローやってくれるわけなかった。
さらには誰のスマホがどこに繋がっているのか?みたいな身近だけど複雑な知能戦が繰り広げられ、敵側のドラマも描かれ、キャラの濃さだけでなく最後まで飽きさせません。
一馬くんは、主人公なんですよ。たまたま濃すぎる友人三名に囲まれたが故に不遇にもこの作品の主人公ではないですが、彼は本来主人公として生まれついたはずの男なんです。文武両道の学年総代でありながら彼女を一途に想う普通の男の子。
マジシャン志望の男子高校生と外人部隊志望の男子高校生と和服が似合いすぎる古風言葉遣いの角刈り大男の男子高校生三人?なんかキャラの濃い小説だな…普通のヒーローが読みたいな、と思った読者の方。
彼女を守って体を張る直球ヒーロー主人公がいます。
マジシャン志望の男子高校生と外人部隊志望の男子高校生と和服が似合いすぎる古風言葉遣いの角刈り大男の男子高校生三人はあまり活躍しない普通の話なのかな…?と思った方。
ちゃんとぶっ飛んだ方法で活躍します。
でもぶっ飛んだ活躍をしつつ、彼らはやっぱり高校生なんですよね。ちゃんと年相応に悩み、もがいて、自分の道を切り拓く。それを一緒に悩んで見届けたいと思います。
持って生まれた才能。家柄、容姿……。人は、人生は、平等じゃない。でも、自分なら。自分たちとなら、上手くやれるぞ。
そんなふうに、甘い蜜を吸おう、吸わせようとする連中から、仲間(?)と彼女さんを救おうとする三人組。
それに対して、仲間じゃないよ、腐れ縁だ。でも、やっぱり頼りには……なるよなあ、と、得意のツッコミが空振る、今回の主人公、岬井一馬君。
甘い言葉も、囁きも。もしかしたら、も、踏みとどまれる。そう、救いたい彼女がいるから。
認めたくはないけれど、頼れる奴らも、いてくれるから。
名門校の首席な彼が、体を張って守りたい、守るもの。
そして、きっと、友情じゃあないよ、と笑う仲間(?)たち。
シリーズ作品ですが、本作からでもじゅうぶんに輝いております、彼ら、彼女たちの物語を。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
今作はとにかく、悪役の存在感が強烈で、色々と考えさせられることがありました。
本作の主人公である一馬は、親しくしている綾子が何者かに付け回されているらしいことで相談を受けます。
ストーカーか何かかと、普段からつるんでいる麗人や黒川、江平たちと共に対策を考えるが……。
やがて、綾子がなぜトラブルに巻き込まれたのかが見えてくるようになります。
その構図もさることながら、今回はなんと言っても「悪役」として出てくる人物が異彩を放っていました。
これが「現代における悪のリアル」なんじゃないか。
一馬や綾子を窮地に陥れ、裏でも様々な悪事を働く存在。
その人物がこれまでどんな人生を送ってきて、どんな考えを持って今も悪事に手を染め続けているか。
そのエピソードが「この社会のどこかに、今も本当にこんな奴らがゴロゴロいるんじゃないか」と思えるような鮮烈さを持っていました。
人が悪をなす時、どれだけそのことを「悪いこと」だと認識しているだろうか?
悪いことだとわかって覚悟を持って踏み込むか。それとも、最後の最後まで「それが本当に悪いことなのか」と答えが曖昧なままで居続けるのか。
現代だと特殊詐欺なども横行し、人に言われるままに誰かに被害を及ぼす人間も数多くいる。でもそれが悪いことだとは「しっかりと向き合って想像する」ということをしなければわからない。
少しでも見て見ぬ振りをしようとし、「責任」というものから逃げようとすれば、きっと一生曖昧なままで終わってしまう。
そういう「弱さ」や「無責任さ」が時には想像を絶する醜悪さや邪悪さに通じていくこともあるかもしれない。
そんな現代ならではの「悪」が描き出された本作。色々と考えさせられる現代性とテーマ性を持った作品です。
シリーズもののようですが、こちらから初めて読ませていただきました。
読み始めてすぐ、「お、おもしろい...!」とスクロールする手が止まりませんでした。
一番の魅力はやはり、個性豊かなキャラクターたちでしょうか。
最初は4人という多さに覚えられるかしら?なんて思ってましたが、それぞれ全く違うキャラ、かつ、個性的なので、すぐに覚えることができました。
言葉遣いだけで、誰が言ったかわかるようになっていて読んでいても「誰のセリフ?」となるストレスがありません。作者さんの技術ですね!
縦軸は「ストーカー」という重めな事件の話でありながらも、所々に笑いが散りばめられているので、どんどん読み進めることができます。
あと、これは本当に個人的なことなのですが、好きな小説家の作品に、雰囲気が似ていて、まるでその方の新作を読んでいるような気になりました。
最近新作を書いてない方なので、残念だと思っていたのですが、この作品に出会えて、更新にわくわくしています。
ぜひいろんな方に読んでもらいたい、上質な作品です。