第5話 まず食事!それからホテル

 アールシュ君が私達の前に料理を運んできた。


 相変わらずの美少年で優雅な所作だ。


「カレはね。インドからの留学生でバイトくんなの。クシャトリヤ……向うじゃカーストの上位らしいんだけど、日本のアニメに躓いて留学までしてしまったの。自分がアニメから抜け出たような容姿なのにね」


「カレとお知り合いなんですか?」


「違うよ。鑑賞対象。キミと同い年くらいかな」


「確かに……オーラ凄いです!」


「地球の広さがわかるだろ?」と私は老酒のグラスを傾けた。



 ◇◇◇◇◇◇


 さて、現在位置は……ラブホのエントランス。パネルの前だ。


 私は手にお気に入りの店のケーキの箱。樹にはシャンパンの箱を持たせている。


「……色んな部屋、あるんですね……」


「うん、ここはけど、どの部屋もいいよ。もちろんだけどね」


 このきょどっている様子からして、樹は確かに“初めて”らしい……


「あ、この天蓋ベッドの部屋。シアタールームの音響が良かったな」


「そこにしましょう!」と樹はパネルの下のボタンを押した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る