第28章:「ノコ、歓迎会」
受付嬢に笑顔で礼を言った。
「ありがとうございました」
「どういたしまして!ご活躍を!」
ギルドを出ると、ザラは思索にふけりながら歩いていた。
「大丈夫か?」
「ええ、ただ考え事を」
マヤが腹を鳴らす。
「屋敷に戻ろう!腹ペコだ!」
「私もニャ!ごちそう食べるニャ!」ノコが跳ねる。
「わかった」笑みが零れる。「ノコの加入を祝おう」
「「やった!」」
森道は静かだった。屋敷に着くと、食堂は笑い声と料理の香りで溢れていた。菌獣たちがテキパキと給仕する。
「うぷ~!お腹いっぱい」マヤが満足げ。
「みんなでお風呂入ろうニャ!」
「「一緒に!?」」マヤは耳まで赤く、ザラは茶を噴き出しそうになる。
「ダメだノコ!男は別だ!」汗を拭いながら。
「え~レン様と入りたかったのに」
「「絶対無理!」」
「じゃあ女子だけでニャ」
ザラがため息。
「……いいわ」
マヤが喉を鳴らす。
「別、別にいいけど……」
女子たちが風呂に向かう間、俺は菌獣たちと片付けをした。賑やかな声が聞こえてくる……悪くない。
突然悲鳴が。
「ノコ戻ってきなさい!」
「どうした?」
タオル一枚のノコが廊下に現れた。
「終わったニャ!レン様の番ニャ!」
後ろからマヤとザラが赤面しながら追いかけてくる。
「タオルを巻くのがやっとだったわ……」
顔を覆う。「めちゃくちゃだ……」
湯船に浸かり、ようやく一息。プリンが怒らないことを願うばかりだ。しかし気になることが――何日もプリンの声が聞こえない。雷も植木鉢もなし。大丈夫なのか?
部屋に戻ると、布団の中にふわふわした感触。
「ノコ!」布団に潜り込んでいた。
「しー、おやすみニャ~」
「自分の部屋に帰れ!」押し出そうとするが、しがみつかれる。
ようやくノコを追い出し、ベッドに倒れ込む。天井を見つめながら、眠りに落ちた。
◇◇◇
翌朝
轟音が屋敷を揺らす。
「今すぐ出て来い!!」
飛び起きて目をこする。いったい誰だ?
廊下でザラと出会う。彼女はパジャマ姿で、赤髪は寝癖だらけ。ゆったりした生地から肩が覗き、思わず顔が熱くなる。
「何があったの?」ザラは俺の反応に気づかないふり。
「今確認しに――」
再び轟音。急いで玄関へ向かう。
ドアを開けると、そこには3人の圧倒的な存在感を放つ半獣人たちが立っていた。中央の男は傷痕が目を横切り、鋭い爪をドア枠に立てる。
「やっと出てきたな!」
「ど、どうされました?」
「この屋敷の主を出せ」
ザラと視線を交わす。
「君の屋敷だ」ザラは肩をすくめる。「自分で言いなさい」
巨漢を見上げ、唾を飲む。
「そ、それは私ですが……」
半獣人が俺を上から下まで見下ろし、拳を鳴らす。人生が走馬灯のように――
「パパ!!」
「「はあ!?」」
ノコが駆け寄り、巨漢に飛びつく。その厳つい表情が一瞬で緩んだ。
「おお、我が娘よ!」
抱き合う二人を、俺とザラは凍りついたまま見つめる。一方マヤの部屋では、彼女だけが何事もなかったように爆睡中だった。
プリン様のヤキモチから逃げられない! PokaPoka Works @pokapokaworks
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