第27章:「ノコ、仲間になる」
広間で、マヤとザラが屋敷への引っ越しを宣言した。
「明日荷物を持ってくるわ」ザラが淡々と。
マヤは腕を組んだ。
「私も。明日からここに住む」
頷くものの、内心ではプリンが誤解しないかと祈っていた。天井を見上げると、いつもの植木鉢が落ちてくるかと思った。
◇◇◇
翌日
マヤとザラが荷物を抱えて屋敷に到着した。ノコが肩に乗った状態で出迎える。
「荷物が少ないな…大丈夫か?」
ザラがため息をつく。
「ずっと旅してたから、これが全部よ」
「宿泊専門でほとんど買い物しなかったから」マヤは荷物を床に置いた。
「菌獣たちが部屋の準備を済ませてくれた。入ってくれ」
屋敷の寝室エリアへ向かう。
「わあ」ザラが感嘆する。「菌獣たち、本気で手伝ってるのね」
「ああ、彼らも楽しんでるみたいだ」庭の手入れをする菌獣たちを見ながら笑う。
マヤは鼻で笑った。
「まあ、あなたに関わってる時点で驚きもないわ」
部屋の選択を始めると、ザラが指さした。
「レンの隣の部屋がいい」
「何言ってるの!私がそこに決まってるでしょ!」マヤが前に出る。
「冷や汗をかきながら」
「その部屋はもう…使われてる」
「誰に?」マヤが疑いの目を向ける。
「私ニャ!」ノコがしっぽを振って宣言。「最初はレン様と同じ部屋に入ろうとしたら追い出されたから、隣を占領したニャ!」
「「ええっ!?」」
ザラは諦めたようにため息をつく。
「先を越されたわ…」
マヤも不承不承に頷く。
「仕方ないわね」
落ち着いたところで、パーティーの今後について話し合った。
「ノコをどうする?」ザラが花瓶を嗅ぎ回るノコを見ながら聞く。「ミッションに同行させるべきかしら」
「ギルドに登録して正式にメンバーに加えるのはどうだ?」
マヤは腕を組んだが同意した。
「腕は確かだ。異存ないわ」
「私も賛成。もうノコは私たちの一員よ」ザラが微笑む。
ノコは首を傾げた。
「パーティーって何ニャ?」
「知らないの!?」マヤが驚く。「初対面の時に説明したでしょ!」
「食べ物の種類かと思ってたニャ」
ザラは額に手を当てた。
「ギルド制度を知らない種族なのかも」
「登録に問題ないか?」
「大丈夫よ。レンだって何の前歴もなく登録できたんだから」
「決まりだな」
ノコが飛び跳ねる。
「教えてニャ!」
マヤがため息をつく。
「登録された冒険者グループよ」
「小さな部族みたいなもの?」
「そんな感じ」ザラが笑う。
「やったニャ!今すぐ行くニャ!」ノコが俺に飛びつく。
◇◇◇
その日のうちにルミスへ向かい、ノコの登録手続きを開始した。ギルドに入ると、いつものように注目を集める。
「半獣人だ!」「新しい仲間?」「可愛いけど強いのか?」
受付嬢が笑顔で迎えた。
「ご無沙汰です!屋敷はもう快適そうですね」
「はいニャ!菌獣たちが手伝ってるニャ!」
「レンさんらしいですね」クスクス笑う。「ノコさんをパーティーに加えたいのですね?」
「ええ、お願いします」
受付嬢が評価用の球体を持ってくる間、ギルド内の視線が気になった。ようやく戻ってきた受付嬢が説明する。
「ここに手を置いてください」
「了解ニャ!」
球体が強く輝き、ギルド内が静まり返る。
「大丈夫ですか?」
受付嬢は驚きながらも笑顔で告げた。
「ノコさん、あなたのランクは……Sです!」
「Sランクって良いの?」
「最高だ」
「レン様も?」
「ああ」
「やったニャ!」首に飛びつくノコ。
マヤは呆れたように。
「当然だわ」
ザラも頷く。
「実力を見れば当然ね」
受付嬢が書類に記入しながら笑う。
「本当に個性的なパーティーですね」
最後に名字を聞かれた時、受付嬢の表情が一瞬凍りついたが、すぐに笑顔に戻る。
「これで完了です。署名の代わりに指紋で結構ですよ」
ザラは受付嬢の反応に気づいたようだが、今は質問しないようだ。
「正式にノコさんがメンバーに加わりました!」
ノコは再び飛びついてきた。
「ノコ、降りろ…」
受付嬢は四人を見つめ、小声で呟いた。
「まさかあの一族の者がギルドに加入するなんて……レンさん、本当に興味深い人を集めますね」
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