第26章:「みんなで屋敷へ」
マヤはノコが天井から降ってきて目隠しした瞬間、飛び上がった。
「離せえええ!」必死にもがくマヤ。
ザラは瞬きした。
「ノコ!?」
俺はため息をついた。
「ノコ、マヤから降りろ」
「了解ニャ!」猫のような身軽さで着地し、マヤは髪を乱しながら息を整えた。
「なんでノコがここに?」マヤが震える指でノコを指さす。
「あのね…実は…」
「ノコ、レン様と一緒に住んでるニャ!」ノコは胸を張って宣言した。
「「はあ!?」」
【回想シーン】
荷物を運んでいると――
「レン様!」ノコが茂みから飛び出した。
「ノコ!?どうやってここまで?」
「レン様の匂いは特別ニャ!嗅ぎつけて追いかけてきたニャ!」
【回想終了】
「そういうわけで…ノコもここに住むことになった」
「なんで許可したのよ!?」マヤが俺の肩を揺さぶる。
「追い返せなかったんだよ!」
ノコが俺の腕にしがみつく。
「レン様からは絶対離れないニャ!どこまでもついていくニャ!」目をきらきらさせながら。
「「えっ!?」」二人の頬が赤くなる。
「誤解だ!そんな関係じゃない!」
ノコが首を傾げる。
「ノコはレン様を独占したいけど…もう相手がいるみたいニャ」
「「相手!?」」
「プリンとレン様のこと、知らないの?」ノコはしっぽを弄びながら聞いた。
顔を覆う。最悪の展開だ。
ザラが冷静に切り込んだ。
「レン…祝福の話も玄関の肖像画も…プリンと何か関係が?」
唾を飲み込む。マヤが真剣な目で迫る。
「全部話しなさい。今すぐ」
「わかった…みんなについて来て」
◇◇◇
屋敷の広間で、暖炉の火が揺らめく中、ソファに腰を下ろした。ザラが足を組む。
「話す時が来たわね」
「内緒事はもうごめんだわ!」マヤがソファを叩く。
一方ノコは菌獣たちと追いかけっこをして遊んでいる。肩に力を込め、全てを打ち明けた――元の世界での死、この世界への転生、プリンとの出会い。
「そんなわけで、プリンが俺をこの世界に連れてきたんだ…そして俺たちの関係は、ちょっと特殊で」
「特殊?」
「プリン様、レン様にベタ惚れニャ!やきもち焼きで大変ニャ!」ノコがクッションに飛び乗りながら解説する。
「「はあ!?」」
「お前、どうしてそんなに詳しいんだ?」
「精霊様が教えてくれたニャ!」
マヤは真っ赤な顔を手で覆った。ザラは思索にふけり、呟いた。
「全て繋がったわ…女神プリンの祝福か。だからあんな特殊な能力が」
「ああ…でもお前たちほど上手く使えない」
ザラは静かに頷いた。
「それでも十分驚異的よ」微笑む。「あなたなら、私の雷を使っても構わないわ」
「怒らないのか?」
「もちろん。全て打ち明けてくれたんだもの」
マヤがソファから飛び上がった。
「私は怒ってるわ!女神がお前に惚れてるだって!?」
「知らないって!」
「空から物が落ちてきたのも?急な雨も?全部プリンの仕業?」
「……そうだ」
マヤは頭を抱え、ザラを振り返った。
「なんであなたはそんなに冷静なの!?異世界から来たんだよ!常識外れじゃない!」
ザラは落ち着いていた。
「異世界からの旅人についての伝説は読んだことがある。それにレンは信頼できる」きっぱりと言い切った。「彼が私たちを信じたように、私たちも信じるべきよ」
「ザラ…」
マヤは横目でザラを見た。
「……少しだけ、あなたのことが好きになったわ。ほんの少しだけね」
ザラは微笑んだ。
「ねえ」ザラが身を乗り出した。「プリンは私たちがこの話をしたことで問題起こさない?」
天井を見上げる。
「たぶん大丈夫…ただ、何も言ってこないのが不思議だ」
ザラは考え込み、決意に満ちた表情で言った。
「よし、決めた」
「何を?」
「私もここに引っ越す」
「「ええ!?」」
「合理的だわ」ザラは説明した。「連絡手段がない。ここにいれば任務の調整も簡単になる」
「私も移るわ!」マヤがテーブルを叩いた。
「は!?」
「パーティーは一緒が当然でしょ!」
ノコは跳ねながら拍手した。
「やったニャ!みんなで一緒ニャ!」三人に強烈なハグを仕掛け、窒息しそうになった。
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