下心正当化論

加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】

@ボトム・オブ・ザ・ワールド

 まず、『恋』という漢字を見よ。

 心が、下にある。

 つまりは、である。


 では次に、『愛』という漢字を見よ。

 心は、真中にある。

 つまりは、真心である。


 そして、恋人が愛ある伴侶になりうることからも自明であるが……



 (((恋は愛へと進化する)))



 そう示すことで私は何が言いたいかというと、「我々人間の豊かな活動のためには、は必要不可欠である」ということである。


 のであって、とうとい教えが起こす大革命、で有名な『蒼い霹靂へきれき』は関係ない。

 



 ❤️❤️❤️




 世にはありとあらゆるあふれている。


 男性が女性に、女性が男性に、恋愛関係を前提に、アプローチを仕掛ける、それも


 子どもが親に、お駄賃やおやつを求めて、家事のお手伝いをする、それも


 飛び込み営業が、新規顧客獲得のために、店長を口説くどく、サンプル品を持ち込む、それも


 スーパーマーケットが、特売チラシを、地域一帯の家庭のポストに投函する、それも


 生物学的男性と生物学的女性が交わらねば、生命のバトンは受け継ぎ、続かない。


 報酬有りのお手伝い制度は、家事の苦労を学ぶきっかけにもなれば、世のことわり——打算的ギブアンドテイク——を理解する第一歩にもなれば、また、過度な奴隷根性獲得により将来損しないためにも、有益である(もちろん何かにつけて見返りをせびる気質を備えないように、無償の愛も知らしめる必要はある)。


 誰も宣伝・広告・勧誘活動をしないなら、資本主義社会(肥大したそれを、私は個人的には嫌う)においてという限りでは、モノやコトの共有、分業が確立されず、立ちゆかない。


 つまりは、あらゆるの類は、エネルギーの源なのであり、トリガーなのであり、導火線への着火なのである。


 百億総人類が気質、受け身気質、消極気質なら、熱は生まれず、躍動的乱雑さエントロピーは増大せず、不動の結晶構造の如く、世界は凍りつく。


 となると、普段を他者に向けない傾向にある者は、を他者に向けがちな者に対して、感謝せねばならない。


 よって、自ら動かずにってばかりな癖に、「何も良くならない」などと不満を垂れるのは、愚鈍ぐどんの極み、傲慢ごうまんの至りである。


 勘違いしてはならないのは、表面的にはでも、本質的にはを振り撒いている場合もあるということだ。


 例えば、企業である。店を構えて、生活に必要な食事や商品の入手を既に与えているので、それはもはやではない。


 他にも、ただたたずんでいる美男美女の放つ輝きや、路上ライブの演奏や美声も、眼福がんぷくだとか、音のこころよさにより、物質的空間的には不動でも、周囲を引き寄せ皆を動的に変えることに寄与しているのだから、ではない。言い換えれば、本人の意図する、意図しないに関わらず、本質的には酷似こくじした現象が起きているわけである。


 世界は……




 ——でできている。




 もちろん、玉石混交ぎょくせきこんこうであり、公共の福祉を達成しうる健全なの中には、犯罪性のあるもの、倫理観を欠くものなど、明かな迷惑行為としての下心も紛れ込んでいるわけで、一定の警戒は必要である。


 余談程度だが、気をつけなければならないのは、詐欺師の下心である。


 例えば、票が欲しいから、「搾取を減らします」だとか「×チョメを安くします」などという、出来もしない、やるつもりのない、嘘八百をかかげる詐欺師の下心は、下も下で、地獄の果てまでり込んでいるので、飛びついてはならない。


 下心は、乱用せぬよう、気をつけたいものだ。

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下心正当化論 加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】 @sousakukagakura

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