第12話夢見る少女のように
夜の静けさの中、
渚はひとり団地の屋上に立っていた。
背筋を伸ばして立っている。
ビルの隙間から覗く月あかりが
凛とした横顔を照らしている。
渚17歳、多感な少女は
誰にも言えない夢があった。
バレリーナになること。
誰に笑われようと、
その夢だけは色褪せず
今も彼女の体の芯にある。
だけど現実は厳しい。
家計は苦しく、
生活に追われる母は
「もっと現実を見なさい」と繰り返す。
ごめんなさい、お母さん。
私は踊っているときだけ、
自分が特別な存在になれるの。
屋上にいる時間は
まるで夢を見る少女のように、
何もかもが輝いて見える。
「だから、私は踊るよ」
小さく呟いた言葉が夜風に吹かれ
月まで駆け上がる。
そのとき、屋上の扉が軋む音がした。
振り返ると、幼なじみの光一が立っていた。
「まだ諦めてないんだな」と、
どこか嬉しそうに笑う。
「うん。諦めないよ。だって夢は、
叶えるために見るんでしょ?」
渚の瞳にはもう迷いはなかった。
夢見る少女のように
けれど、それはもう、
夢だけで終わらせない。
きっと、いつか、夢から
本当のものにするの。
私が手を伸ばし続ける限り、
物語は終わらない。
その美しい後ろ姿に
光一は未来のプリマを見た。
※アプリ書く習慣より
LIFE IS KOU @mot501
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