4話 鎖
絶望が僕を否定する。
ここにも僕の居場所はないんだろうか。
周りに『そんなことはない』と言われたところで
どうせそんな言葉は気を使った建前でしかない。
『こう言った状態で慰めてくれることだって、
周りがあなたを気にかけてくれているってことだよ。』
なんて言われた日には発狂してしまう。
そんなもの、慰める側の偽善な自己満足で、
僕からしたらただのありがた迷惑なんだよ。
僕がいようがいまいがこの世界だって回っていくんだ。
僕がいなくても何も変わらないんだ。
それが真理であり、『社会』なんだよ。
…いや僕がいた方が周りの迷惑や邪魔になっているのかもしれない。
いや、そうだ。そうに違いない。
『そんなことないよ!マコトは、私にとって大切な幼馴染だよ!いなきゃ困る!』
うるさい。
君もそんなことを言うのか。
君に迷惑をかけたどころか、
殺してしまったようなやつなんだぞ。
『ううん、違うよ?マコトは私を守ろうとしてくれたんだよ?』
殺してしまったことに変わりはないじゃないか。
僕の大切な幼馴染はもういないんだ。
『いるよ。マコト。ずっと一生いる。私はずっとマコトと一緒だよ。』
慰めてなんていらない。
慰められたって僕はもうキツキを触れることすらできないじゃないか。
…なんとか言えよ。
「ふーん。触りたいんだ?マコトのえっち。」
「なっ!!!」
急に話の腰を折られ、驚いた表情で前を向くとそこには「キツキ」が湿った目で見つめてきていた。
「なん…!どう…!」
動揺していると彼女はニヤリと笑った。
「私のこと触りたいって?マコトもしっかり男の子なんだね〜」
ニヤニヤと笑いながらそういうキツキに、
僕は何からいえばいいのかわからなくなってしまった。
「そういう意味で言ってないって…」
「私はいつでもいいよ?」
「え?」
「いつだって準備できるんだから」
「…それって一体どういう…」
「無駄口を叩いてないでさっさとしろ!残業時間倍にするぞ!」
気になるところで巨漢がこちらを振り返り怒鳴った。
キツキの今まで一度も見たことない表情。
その表情に不覚にもドギマギしてしまった。
しかし、その表情も気のせいだったのかもしれない。
いつものキツキに戻っている。
いつも通りの彼女の表情に今自分が置かれている状況を思い出す僕。
僕たちは遅刻しているんだった。
巨漢の影に飲まれた先にはちょっとした空間が広がっている。
陰りのせいでよく見えなかったが、
その奥にはロッカーのように区分けされたように等間隔でフックが並んでいる。
高さは僕の目線くらいの高さ。
そして並んだのうち内側に2つ隣同士に小袋がかけられていた。
そのうちの右側にかかっている小袋に焦点を当てたその時、
脳内に情報が流れ込んできた。
さっきミスターコーンやソノコの名前が浮かび上がった時と同じ感覚だ。
しかし、先ほどとは少し違う。
なぜなら、文字通り『浮かび上がった』からだ。
転生モノでよくあるやつだ。
自分や他者のステータスが、
何もない空間に浮かび上がるというもの。
しかし、その浮かび上がった文字は完璧な文字列になっているわけではなく、
どこか不完全で、ところどころ文字が虫食い状態で、読みづらいものだった。
虫食い状態ではあるものの幸いにも
重要な情報はしっかりと汲み取れるくらいの不完全さだから理解ができる。
『コーン…業の道具:ドラ……んのような四次元ポケ……式で、倉庫から必要な道…を引っ張ってこれる』
…意味がわからないが、とりあえず理解はできた。
この袋さえあれば、どこでもコーン農業に勤しむことができるようだ。
かなり便利な道具だということがわかる。
というか、コーン農業なんだ。ここでする仕事って。
農業というとかなり穏やかな印象がある。
もちろん仕事は忙しいだろうが、
ここ数日の出来事に比べたら精神的には余裕ができそうだ。
そう思い、自分の袋の方に手に取った。
本当に何も入っていない、ただの袋だ。
試しに手を突っ込んでみても中には当然ながら何もない。
どこをどう探ってみても農業で使われるような道具が手に当たることがなかった。
手に当たることがないと言えば、もちろん「袋の布生地」も当たらない。
「もちろん」というと聞こえとしては、
当然であるように振る舞って聞こえるが、
この感覚は僕に強烈な違和感を与えている。
当たり前だ。
拳一個分の広さしかない小袋の中に手を突っ込んでも、
手の周りに小袋の内側の布面が当たることがない。
自分の手の温もりが布面に反射して帰ってくるような妙な圧迫感はあるものの、
いざ動かすとその圧迫感を残したまま僕の手は自由に動かすことができた。
妙な感覚だ。
でもそんな悪い感じはしない。
そんな感覚に浸りながらも隣を見ると、
キツキも同じように袋を手に取り、
片手を袋の中に突っ込んでいた。
そして何かを早速取り出す。
農業で使う道具、よくわからないが、くわとか鎌とかだろうか。
そう考えながらキツキが取り出したものを見る。
しかしその正体はくわでも鎌でもない。
それは、銀色の光沢を発する輪っかだった。
金属製のリングとでもいうのだろうか。
手首にはめるには大きいが手のひらに収まるくらいのサイズ。
太さは一度落としても割れないくらい頑丈の太さ。
農業で使うためか扱いやすい感じは出ている。
でもどうやって農場で使うんだろうか。
そう思いながら僕もキツキを真似て、
小袋の四次元ポケット空間に奥深くまで手を突っ込んでみる。
しかし何も見つからない。
もう少し奥にあるのかと思い、さらに腕を奥へと入れ込んだ。
コツン。
手に何か当たった。
結構硬い感じがする。
キツキと同じような金属製のリングだろう。
そう思いながら手に当たったものを掴む。
やっぱりそうだ。
金属製のリングだ。
しかし、想像していた感触と違う。
なぜなら、僕が掴んだそのリングはリングというには角張った部分があったからだ。
三角?いや四角の形をしている。
「ちょっと、いつまで袋に手を突っ込んでいるのよ。」
隣で見ていたキツキが変な顔をしながらこっちを見ている。
ミスターコーンとソノコからの視線も感じ、少し恥ずかしくなってきてしまった。
僕は恥ずかしさのあまりつかんだまま焦った勢いで袋から手を出す。
その拍子に、自分が持っていた金属リングが袋に引っかかったのだろう。
勢いそのままに手から金属リングが吹っ飛んでいった。
「あ!おい!」
吹っ飛んでいった先は僕の後ろ。
ミスターコーンとソノコが座っている場所の方向だ。
ミスターコーンが慌てたような声を出すのもわかるが、
思ったよりも慌てた声をしている。
振り返るとミスターコーンが座っていた不釣り合いなソファから飛び出し、
今まさに僕が吹っ飛ばした金属リングを
ダイレクトキャッチしようとしているところだった。
時間がとてもゆっくり流れているように感じる。
なんなんだ一体。
何かとんでもないことが起きる気がする。
しかし、いたってなんの変哲もないリングだ。
そのリングをミスターコーンはイカつい顔が台無しになる程、
慌てた表情になってまで取ろうとしている。
意味がわからない…。
…もしかして、とても危険なものなのか?
リングを拾おうとしているミスターコーンの手は、地面スレスレを這うように伸ばしている。リングが地面に落ちないようにしている…?
…もしかして、このリングが地面に落ちてしまうのが危ないことなのか?
地面に落ちた衝撃で爆発して、この拠点もろとも吹っ飛んでしまう危険なものだったりするのではないだろうか。
それならこの慌てっぷりに納得がいく。
もしそうだとしたら、
今から僕がリングをキャッチしに行こうとしても絶対間に合わない。
今の自分ができることといえば、ただ自分の身を守ることだった。
しかしリングとの距離は4人の中で僕が一番近い。
いくら身を庇ったところで
爆発で飛んでくる破片のほとんどが僕の体にあたるだろう。
いや、突き抜けていくな。
だとしても生き残るためには出来るだけ致命傷を避けなくてはいけない。
ならば後ろを向いてうつ伏せにならなければ。
後ろを向いた時、キツキがこちらに向かって走ってきていることに気づく。
キツキの表情も異常事態であることがわかるほど鬼気迫る表情をしている。
僕に手を伸ばしているところを見るに、
僕を守ろうとしにきているというのがわかる。
今後こそ守らないとーーー。
その瞬間、体が勝手に動いた。
自分の身を守ろうとしていた僕の体は咄嗟にキツキの方に走り出し、
キツキを真正面から抱え、勢いそのままに床に倒れ込んだ。
爆発の音がするまで僕はキツキの顔から上半身にかけて覆うようにしてうずくまり、飛び散る爆発物から最低限キツキを守ろうとした。
倒れ込み方が悪かったのか右肩が痛い。
倒れ込んだ時にかかったキツキと僕の自重と走り込んだ勢いが全て行ったんだ。
当然だ。
だけど、今はそんなことはどうでもいい。キツキを守らないと…!
………………………………………………爆発の音が一向にしない。
それどころか金属リングが床に落ちた音すら聞こえなかった。
時間が流れるのが遅く感じたといえど、流石に何かしら音が聞こえてきてもおかしくないくらい時間が経っているはずだ。しかし、それらしい音がしないのはもちろん。物音がひとつもしない。
僕は恐る恐る顔を上げて金属リングが落ちたと思われる方向を見てみる。
リングに視線を向けるより前に見えたのは、僕と同じようにソノコを抱き抱えた大きな体。そして視線をさらに落とすと、そこには金属リングは床に転がっていた。
いやリングではない。感触の通り4つの角があるリング状のものだ。そしてそれは爆発せずに地面にポツンと置かれている。まるで何事もなかったように。
それを見て安心した僕は緊張で強張った体から一気に力が抜けていくのを感じる。
「なんだ…。」
そう一言もらすと、緊張からほぐれた脳みそは正常にまた動き出すのを感じた。
そういえばキツキを抱えたままだ。
そう気づいた僕はキツキの方に視線を向ける。
「大丈夫か?」
そう声をかけるが返事がない。
「…?キツキ?」
もう一度呼びかけながら僕は腕を解いて様子を確認した。するとそこには顔を真っ赤にして目を潤わせているキツキがいた。その表情はなんとも表現できない。嬉しいような悲しいような苦しいような…。どんな感情なのかわからなかった僕は、当てずっぽうに声をかける。
「え?あ、ごめん苦しかった?」
そう問いかけると何かを察したのだろう。キツキは慌てて僕から距離を取りそっぽを向いた。
「…なんでもない…!」
よくわからないが元気なのは確かだ。ならそれでいいやと思い、僕は次にミスターコーンたちを見る。そこにはソノコを立たせて白のワンピースを軽く整えて綺麗にしている巨漢がいた。彼もまたソノコを心配して声をかける。ソノコは何が起きたかわかっていないのか同じていないのかわからないがただ一度こくりと頷いた。
それが彼女の通常運転なのだろう。その様子を見た巨漢は一息つく間もなく、ギロリと僕を見た。
「馬鹿野郎が!!!あぶねぇだろうが!!!これで2度目だぞ!?それは慎重に扱わなきゃいけねぇって何度言ったらわかるんだ!!!」
そう怒鳴って指を刺したのはもちろん僕が落とした金属。ここでこれが何かを聞き返す言葉が出そうになったが、反射的にその言葉を飲み込んだ。おそらく今までの僕はこれを知っている。それを聞くなんておかしなことあっていいわけがない。とりあえず素直に謝っておこう。
「…すみませんでした…。」
「だいたいお前はいつもいつも………!」
このまま説教が続くと思いきや、不自然に言葉を止める巨漢。自然に止まったというよりかは言葉に詰まったって感じだろうか。深々と頭を下げているから彼の表情がわからない。その場はそのまま静まり返るのだが、その違和感のある間に状況が気になり出す僕。顔を上げたい気持ちをグッと堪えて、僕は彼の言葉をまった。
「お、おう…。次は気をつけろよ…。」
先ほどの怒鳴り声とは打って変わって少しこもった声。飛んでくるという荒っぽい感じではなく、言葉を手渡しされた気分だ。僕は恐る恐る顔を上げると、彼は後ろを向き元のソファに座るところだった。
「とりあえずそれ拾ってさっさと仕事場に行け。キツキもだ。…お前体調悪いのか?顔が赤いぞ?」
「はぇっ?!いいえ!大丈夫でしゅ!ほ、ほら、早くいくよマコト!」
慌てたように入り口へと向かうキツキ。
僕はそんな彼女を尻目に落としたものを拾い上げた。
内心でこの金属物に疑問を持ちながら、
手首をくるくるさせて全体をくまなく見てみることに。
「何ジロジロ見てるんだ?お前やっぱり変だぞ今日?」
「いえ、なんでもないです。」
正直なんて返すのが無難か考えたが、これしかいえなかった。
曖昧な返答だなと思いつつも、
ミスタコーンそっちのけで拾った金属物を念入りにみる僕。
爆発しなかったのもそうだが、
床に落としそうになっただけで周りのあの反応は正直変だ。
爆発はしなかったものの、何かそれ相応の危険なものなのかもしれない。
ここでは僕はこれに対して知っている体だ。
無駄に聞くことも憚られる。
手に持った金属をくまなく何十周も見渡しながら持ちどころ、
持ち方を変えてみるも特に何かあるわけではない。
なんの変哲もない金属だ。
僕が金属に向けていた不安や不信感は、
さっきまでの周りの反応のせいか尋常ではない。
しかし、その不安や不信感もくまなく見ることで若干拭うことができた。
これ以上見ても仕方がない。
そう思い、袋に戻そうとしたその時だった。
金属の捉えている視界の右上らへんに異変が生じる。
この袋を最初に見た時と同じだ。
角が丸い四角い枠に文字がつらつらと並べられていく。
先ほどと違うのは並べられていく文字がしっかりと読み取れるところ。
『MPゲージ:⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎』
MPゲージ?
魔法ポイント?マジックポイント?マナポイント?わからない。
『MPゲージ:⬛︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎』
ん?
『MPゲージ:⬛︎⬛︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎』
なんかメーターが減っている…?
『MPゲージ:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎』
さらにさっきの倍は減っていってる…。
『MPゲージ:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬜︎⬜︎』
『MPゲージ:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬜︎』
何もしていないのに減っていくMPゲージに拭ったはずの不信感は、
先ほどよりも強い力で心を締め付けてくる。
そして…
『MPゲージ:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎』
とうとうゲージが0になってしまった。
逆に0になったから何か起きるんじゃないかという微かな期待とは裏腹に
何も起こる様子はない。
「マコト、早くいくよ…!って何それ…」
ゲージの変化に足を止めていると、
キツキが僕に気づき声をかけてくれた。
しかし、彼女も僕の方を見て、後半の言葉を詰まらせる。
「何それって、道具でしょ…?仕事で使う…。…!」
そう言って自分の手元にある金属リングを確認する。
「…なんだ…?」
ここでようやくこの金属リングが先ほどをは様子が変化しているということに気づいた。
小刻みな振動に加え、徐々に光源として光り輝き始めている。
先ほどまで自分のn手先に神経が通っていなかったのかと思うほど
その振動は激しくはっきりとしている。
異変に気付いたのかミスターコーンたちからの視線も感じる。
「まずい!早く鎖をしまえ!」
「ダメよ!しまったら、倉庫がとんでもないことになってしまうわ!」
僕の様子を見て、金属リングを落とした時と同じくらいの慌てような二人。
ソノコですら慌てた様子にあることで、
これが先ほどよりまずい状況だということを悟る。
もちろん落としたらだめ。
そして袋にしまったらダメ。
まずい状況だということがわかっているのに、
これに対しての対処する方法が見つかっていないよう。
そして僕もまた、どうすればいいのかわからなくなってしまっていた。
時間が過ぎるにつれて、
金属リングは徐々に熱を帯びていっている。
金属リングを形成する分子たちがとてつもないスピードで振動しているのだろう。
さらには高温の金属も徐々に音量をデカくしている。
熱と振動、そして身がよだつような不快な高音。
まるでこれらが危険を示しているようだ。
「ど、どうすればいいんだ!」
ミスターコーンたちに対して投げかけるも、
彼らも慌てた様子でこちらをみるだけだった。
金属音に耳をやられているのか耳も塞いでいる。
「マコト!外に投げて!」
振り返るとそこにはキツキが立っていた。
キツキは僕の近くにあった窓を指差して叫ぶ。
とにかく、キツキのいう通りにしなくては。
僕は金属リングを外に投げる体勢に入った。
できるだけ遠くに飛ばさないと危ないだろうと思い、おもいっきり振りかぶる。
そして、今まさに投げようとしたその時だった。
金属リングから複数の火花が発生した。
そしてその火花は電気を生み出し、自分が接触していた指先を駆け巡る。
「っつ!!!」
静電気より若干強いくらいだったが、
急すぎる出来事に僕は反射的に金属リングを手放してしまう。
「あ…!」
「え…!」
手から離れた金属リングはもちろん、重力に従い落ちていく。
カコン…
無常にも金属リングは木製の床に落ちた。そしてー。
ジャラララララララララララララララララ!
落とした金属リングは
不快な高音から金属同士が擦れる音へと音を変える。
先ほどまで僕が持っていた金属リングを起点に、
無数の金属リングがどこからとなく生成され、
四方八方に伸びていった。
僕はその勢いに圧倒され、尻餅をつくことしかできなかった。
そんな僕をお構いなしに鎖は次々と飛び出していく。
何が起きているのか全く頭の整理が追いつかない。
その暇さえ与えられないほど自分の目の前の状況は急激に変化していった。
これら全て数秒の出来事。
全てが終わった頃には本当に数秒の間に起きた出来事だったのかと言うほど、
僕の目の前は一変していた。
無数の鎖は列を成し、あらゆる方向に伸びている。
ところどころで障害物に当たったのだろう。
一本の鎖でも当たった拍子に角度を曲げて、また別の方向へと伸びている。
こうして形成された目前の光景に僕はただ呆然見ていることしかできなかった。
「そうだ、周りの人たち…キツキは…!」
そう言った瞬間だった。
視界の右上の隅に異変を感じる。
さっきと同じだ。また文字が羅列し始めている。
今度はその文字列が形成されていく過程がはっきりとしていた。
0と1が交互に羅列し、文字が1文字1文字形成されていく。
「なん…。」
形成されていく文字に困惑する僕。
この状況下で文字が形成されていくのもそうだが、
形成されていった文字たちが持つ意味は、
この状況にあまりにそぐわないものだったからだ。
『Welcome to this world's』
僕はその文字列の意味を理解するのに苦しんだ。
現実に疲れた僕は転生先でひっそりとファームしていましたが、ものの見事に勇者になってしまいました。 @NoLA1344
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