其の四 開幕

「とりあえず、自己紹介しましょう!」

人の良さそうな少女がそう切り出す。

「ここに敵が混じってるかもしれねぇってのに。いいのか?」

明らかにナルシスト気質な男子。

コイツと関わると碌なことがなさそうだな。

「ここには15人しかいません。恐らく敵陣営の15人は別の場所です…」

臆病そうな男子がそう返す。

一緒に行動しても、足手まといにしかならないだろう。

「僕は宇沢うざわりとです。役職は…。」

そこで言いとどまる。

おそらく能力持ちなのだろう。

裏切り者か、神か、王か、それとも______


「僕は、===です…。」



「とりあえず自己紹介をしよう!俺は炎城えんじょうしゅうだ!能力はフレイムで、役職は"人間"だ!」

ものすごく五月蝿そうな人だな。

近くにいたら秒で鼓膜が破れそうだ…。

「私は蝶野マイよ。能力はバタフライで、役職は"人間"。」

少し気の強そうな女の子がそう言った。

能力って何だよ、能力って。

「俺は隼川はやかわりくです。能力ってのはよくわかんないけど…。とりあえず、役職は"陰陽師"でした。」

陰陽師は、相手の攻撃及び役職の能力を一度だけ封じることができる。

だがチャンスは一度きり。

使うタイミングを間違えれば命取りになる。

まあ全員で一緒に行動すれば_____


「ねぇ、何で全員自己紹介する流れになってんの?」


__え、

「うち、別に一緒に行動するつもり無いからね。」

他の何人かが頷く。

「だって、まとまって行動してもあんま意味ないでしょ?じゃ、もう行くね。」

そう言ってどこかに歩いていく。

他の人達もそのままついていき、あとに残ったのは僕達五人。

「…このゲーム、勝つためには絶対に敵陣営を全滅させなければいけないのかしら。」

蝶野さんが立ち上がる。

「でもあなた、バタフライなんでしょう?攻撃タイプの能力じゃない…」

途端に蝶野さんの表情が曇る。

「そう。確かにそうよ…。…でも、殺したくはないの。たとえ敵だとしても、命は命なのよ?」

言われてみれば確かにそうだ。

たった今俺達は、生き延びるために敵を殺そうと考えていた。

だけど、それはおかしい。

いくら敵でも、俺達が生き延びるためだとしても、人を殺して良い理由にはならない。

「私、できれば殺したくない。殺さずに勝つ方法を考えたいの。」

俺も完全に同意する。人を殺して生き延びても全く嬉しくない。

もしも殺してしまったら、生きて帰っても後悔に苛まされ続けるだろう。



「___殺し合わないといけないクソゲームなんて、私達でぶっ壊してやりましょう。誰も死なせない。」






だが、ゲーム殺し合いはもう始まっていた。





teamA生存者 15人

   死亡者 0人




teamB生存者 14人

   死亡者 1人

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神の宴のデスゲーム riokokko @rioko-rioko

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