影恋（かげこい）の契り

海と山に挟まれた小さな漁師町・波神町。
月宮夕依は〈影〉を引き寄せる体質を持ちながらも、寂れた神社巡りを愛する高校生。
ある夜、彼女は無名社の社で“影”そのものの少年・影比良と出会う。
影比良は千年前に生まれ、〈影王〉の片身として孤独にさまよってきた存在だった。

幼なじみで陰陽師の末裔・小田切明良は、町を脅かす影札と影王の復活を阻止するため、影比良の封印を命じられる。
しかし夕依の無垢な好奇心と優しさが影比良に“恋”を芽生えさせ、三人は「影と人が共に生きる道」を探し始める。

狐火の眷属、千年前の巫女の血脈、裏夜に眠る月映えの都──数え切れない因縁が交錯し、影比良の胸に宿る〈白環星〉は影・光・無を抱く七重の輪へ成長。
愛か、封印か。
檻となるか、庭となるか。
灯と影の選択は、町の未来と三人…続きを読む