第12話 戦争祝賀パレードは盛大に

「ありがとう! ありがとう!」



「勇者テオ、レイズベリー救国の騎士レブラン、カディア教の若き大司教リッカ、"偉大なる闇の女王"死霊術士ネクロマンサーミリィ、えーと......他1名! 万歳!!」



んー!? ま、まあいいでしょう......。



俺たちはレイズベリー城およびその城下町で生き残った、全ての人たちの歓喜の輪の中にいた。



太鼓や笛、ラッパが打ち鳴らされ、紙吹雪が宙を舞う。



死者の埋葬や、破壊された施設•建物の片付けが済むと、待ちかねたように勝利のパレードが始まった。



式典に先だって、レイズベリー王国騎士団の団長だというレブランの父、マテウス=ロンド氏が、愛娘に家伝の盾を譲り渡した。



「私はもうこの盾を持つことはできぬ。レブランよ、旅を終え無事に戻ったら、正式にロンド家を継いでくれ。騎士団をそしてレイズベリーを頼むぞ」



レブランは涙ながらに父の申し出を受けた。



「必ずや魔王を倒し、無事に戻って参ります。その時まで父上のご期待に答えられるよう、鍛練を重ねて参ります」



ええ話やなぁ。



次いでマテウス氏は俺の元へと歩み寄った。



「君はあれか? その服装には何かこだわりがあるのか?」



あ......。なんか既にこの格好の自分に何とも思わなくなってた。慣れって怖い。



そんな訳で俺は無事マテウス氏の好意により、白い『サーコート』なる服に着替えることができた。(しかもカッコいいブーツとマント付き。嬉しーっ!)



「ふふふ。ケイタ、とても良く似合ってるわよ」



レブランもご機嫌で褒めてくれた。



さて、パレードは終始盛大で、まず俺たちは煌びやかに飾り付けられた馬車に乗せられて、城下の街をグルっと一周した。



沿道からは大歓声が飛んでいる。俺は腕も千切れよと言わんばかりに手を振ったが、むろん、集まった観衆が見たいのは俺ではないということは言うまでもない。



次いで、王様より直々のお声がけがあるということで、玉座の間へと移動した。さすが亡国の危機を救われただけのことはあって相当に手厚い待遇だが、居並ぶ大臣や貴族たち、警備の兵士の物々しさなどもあって意外と緊張する。



玉座の前に直立不動で待つこと数分。やがて頭に金色の王冠を戴いた、威厳ありげな老人が現れた。



かつて自ら先陣に立ち、幾度となく戦場を駆けたという歴戦の勇士でもあるレイズベリー王国第18代国王サンドラット=レイズベリー王は、ゆっくりと玉座に腰掛けると、重々しげに口を開いた。



「いやー、危なかったわ。そなたらが居らんかったら確実に我が国滅亡しとったわぃ。まさにギリギリせーふじゃ。本当に助かったぞな。しかもアレじゃろ? 魔王討伐の旅をしとるわけじゃろ? そのうえレブランは我がレイズベリー王国騎士団長マテウスの娘ときた! いやー嬉しいやら有り難いやら。まぁ当分はゆっくり羽を伸ばして行きゃしゃんせ。ここだけの話、よその国の王族が来たときより手厚くもてなすよう大臣どもに言いつけてあるわい。ガハハハハ」



あら!? すっごい喋る。しかも思いがけずだいぶフランクな感じ。



その後、王の言ったとおり盛大な宴は10日間続いた。

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