虹の橋行きの航路
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虹の架け橋の沿線は、前世で良好な関係にいた人と生き物がやってくる地域です。
その証拠に終点の虹の橋の街には、飼い主だった人との再会を待っている生き物たちの区画があります。
その生き物たちのためにあるのが、虹の橋行きの航路。銀河鉄道の路線とは違って、虹の橋に直航しているからです。
虹の橋行きの航路は、飼い主の人たちの願いと祈りから生まれました。
先に逝ってしまった彼等が迷うことなく真っ直ぐに安息の地に行き着いて、そこで自分たちが迎えに行くまで、のんびり待っていてほしいという願いがこの直通航路を作り上げたのです。
迷い犬のマレを保護した当初、駅員さんは里親を探すつもりでいました。
でも、里親探しの前に、先ずは疑問を解決しようと、マレが舟に乗るまでの
虹の橋行きの舟に乗ることができたのなら、当然マレは飼い犬だったはずです。それが、なぜ舟から逃げ出してしまったか、不審に思ったのです。
受け取った報告書には、信じられないことが記載してありました。
マレは咬傷事故を起こし、凶暴犬として殺処分されたというのです。駅員さんは目を疑い何度も読み返しましたが、間違いはありません。
この記載が真実なら、マレは虹の橋行きの舟に乗れるはずがないのです。
万一なんらかの理由で乗船できたとしても、逃げ出した後は、どこか別の沿線に向かったはずです。
繰り返しますが、虹の架け橋の沿線は、良好な関係にいた人と生き物がやってくる地域です。殺処分された凶暴犬が望んでやってくる場所ではないのです。
どうしても納得がいかず、さらに問い合わせをして行くうちに、駅員さんにも、だんだんと事情が飲み込めてきました。
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