実践型新格闘技「REALIST COMBAT:真格」設立のご挨拶および公式ルールブック

実相寺振人

拝啓

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。このたび、私実相寺振人は、次世代格闘技RCA(Real Combat Arts)の世界初となるプロ競技団体「REALIST COMBAT:真格」を設立し、代表に就任することとなりました。


ここでは


1. RCA(Real Combat Arts)とは何か?

2. 「REALIST COMBAT:真格」とは何か?

3. RCA公式ルールブック


について順を追って説明をしていきたいと思います。



1. RCA(Real Combat Arts)とは何か?


Real Combat Arts(リアル・コンバット・アーツ)は、現代のMMA(総合格闘技)の進化系です。MMAをある程度踏襲しつつも「実戦において本当に有効な格闘技術とは何か」に向き合う中で生まれた新しい格闘技です。


そもそも総合格闘技は第一回UFCがそうであったように、ストリートファイトなど実際の「路上の喧嘩」を想定したものでした。しかしその技術体系が確立し、さらに興行としての商業性や競技としての安全性との両立を迫られることによって、その本義が曖昧になってしまったという面は否めません。


RCAは本来の総合格闘技、否、ヴァーリトゥード(vale tudo)の本旨に立ち返りつつ、格闘技を“実戦の科学”として再定義するプロジェクトです。それはスポーツというよりむしろシミュレーション、生存知の集積の場であり、まさしく命を懸けずに「命が懸かったらどうなるか?」を真剣に考えることのできる唯一の競技ということができるでしょう。


またこうした性質上、RCAにおいては従来の商業格闘技のような「スター選手」や「アイドル的熱狂」は必要ありません。RCAは商業格闘技の枠を超え「危険な技術を危険なままに取り扱い、それを受け入れる厳粛なる覚悟と自己統制力を持った者」のみが参加を許されます。これは選手だけでなく観客に関しても同じです。観客は従来の商業格闘技にありがちな「選手を応援する側」ではなく、言わば科学実験の観測者として主体的に検証や考察を行う役目を担います。


RCAは人間における身体性と精神性の限界への挑戦であり、選手はもちろんのこと、スタッフや観客など、関わる全ての人間に対して「個として屹立した戦闘者」たることを要求します。



2. 「REALIST COMBAT:真格」とは何か?


REALIST COMBAT:真格(略称:真格、英語名:REALIST COMBAT)は、「実戦性の追求と技術の純粋な検証」を理念とした、次世代型総合格闘競技「RCA(Real Combat Arts)」を推進する公式団体・興行組織です。


「真格」は商業主義に偏りすぎた現代の格闘技興行から距離を取り、「格闘とは何か」「技術とは何を測るものか」という根源的問いに真正面から向き合う、新しい戦いの形を提示します。


「真格」のコンセプトは実戦的攻防の検証と身体知の再構成です。その試合は後述のRCAルールに則って行われ、従来のMMAに比してより実戦性を重視した過酷な戦いが行われる一方、これまでの商業格闘技のような煽りVなどの演出、観客による選手のアイドル視などを排し、より静謐な舞台を作り上げます。


「真格」は単なる格闘技興行ではありません。それは現代における武道的身体観の再発見を目的としたプラグマティズム(pragmatism)の理念に基づく実験と検証、そして深い知的洞察の場であり、なにより神聖なる儀式的空間でもあります。


今現在、「REALIST COMBAT:真格」では軽量級(79kg以下)、中量級(80kg以上89kg以下)、重量級(90kg以上)でそれぞれ8人制トーナメントを計画しております。トーナメントは予選と決勝戦で計2回のイベント、計4500万円ほどの費用を想定しております。カクヨムの作者ページのサポーターズパスポートおよび同作者のnote(https://note.com/banishment)にてご支援を賜っておりますので、本団体の趣旨に賛同していただける方はぜひよろしくお願いいたします。



3. RCA公式ルールブック


基本理念:

RCA(Real Combat Arts)は、現実の戦闘状況に即した攻防と、技術・判断力を尊重する真剣勝負の場である。派手な演出を排し、選手の身体能力・格闘技術・覚悟のみによって勝敗を決する。



第一条 競技形式:

・出場資格:18歳以上、一週間あたり1時間以上の格闘技ジム、道場でのトレーニングを3年以上継続した体重60kg以上の男性

※ジムにおけるタイムカード等の物的証拠及び複数の証人等客観的証明を必要とする

・試合時間:1ラウンド10分、延長ラウンド5分(2回まで)

・タイトルマッチ:タイトルマッチは1ラウンド10分、延長ラウンド10分、再延長ラウンド5分

・インターバル:延長ラウンドの場合のみ3分間。選手はインターバル中のみセコンドによる助言・治療・水分補給を受けられる。

・試合場:半円形ケージ(直径8〜10m、直線側に選手出入口)

・グローブ:オープンフィンガー制(バンテージ厚5mmまで)

・着衣:上半身はサンボベースの道着、下半身はファウルカップおよびサポーターの上にボクシングパンツかスパッツのみ。上半身の道着および帯は武器、防具として使用可能。ただし試合中一度身体から離れマットに落ちたものを再度拾い上げて使用することは不可。所有者の身体から離れた瞬間「ノーギ」の掛け声とともに極力速やかにレフェリーがケージ外へ放棄する。

・レフェリー:ケージ内に1人、ケージ外に2人。さらに判定用AIも併用する。

・グラウンド:どちらか一方が足裏以外をマットに付けた瞬間から1分以内とする。1分が経過した時点でサブミッション(キャッチポイント(後述))が成立するかスタンドに戻らない場合、グラウンド状態の者は1ハーフポイント(後述)相当の減点を受ける。

・ドーピング:日本アンチ・ドーピング機構および世界ドーピング防止機構の規定に準ずる



第二条 勝敗の決定:

1. ノックアウト(KO)

2. サブミッション(一本)

3. レフェリーストップ(TKO)

4.セコンドによるタオル投入

5. 「技あり」による3ポイント分ののダウンポイント蓄積(技ありTKO)

6. 判定(完全判定ポイント制)



第三条 技ありTKO:

RCAルールでは、MMAとは違いレフェリー3人中2人以上の「技あり」判定によりダウンポイント等が加算される。これを試合中に3ポイント先取した者はTKO勝利と見なされる。また判定においてもこのダウンポイント等をより多く獲得したものが勝者となる。「技あり」が認定されるのは以下のいずれかである。


 1. スタンドでの打撃によるダウン(ダウンポイント)

 2. 相手の両足を浮かせ、自分の腰かそれより高い位置を通過しての投げ(シュートポイント)

 3. 金的打撃(グラウンド状態で局部を掴む行為も含み、この場合はポイント加算と同時にレフェリーがブレイクしスタンドから試合再開となる)(ロウポイント)


また以下においては「技ありポイント=ダウンポイントと同等」が加算されると同時にブレイクがなされ、両者スタンドから試合再開となる。


 4. 両掌ないし帯や道着の袖等を使った気道を狙う首絞め(再開の際には帯は腰に巻き直さず、手に持った状態とする)(キャプチャーポイント)



第四条 ハーフポイント:

ハーフポイントとは、明確な勝負の決定打には至らないものの、実戦において重大な不利や危険をもたらす行為・局面を評価するために設けられたポイントである。RCAではこれを「ハーフポイント」と定め、ダウンポイントの半分(0.5ポイント)が付与されるものとする。ハーフポイントに認定されるのは以下の行為である。


バランスポイント (Balance Point)

ダウンポイントに相当しない投げ(テイクダウン)行為。相手の足裏以外の部位を先にマットにつけさせ、明確な体勢崩しを取った場合。


キャッチポイント (Catch Point)

グラウンドにおいてサブミッション(関節技・絞め技)が明確に極まったと認められたが、制限時間(1分以内)にタップアウトに至らなかった場合。この判定はレフェリー3名中2名以上の認定により決定される。



第五条 判定ポイント:

上記の通り、RCAにおける勝敗はKO、TKO、一本ないしギブアップによってなされ、それ以外にダウンポイントの先取によって決せられる。しかしこのいずれもが成立し得なかった場合のみ、完全ポイント制による判定によって勝敗を決するものとする。判定は主に打撃のヒット数を基準とし、画像認識AIによるリアルタイム測定を行う。ポイント加算の対象となるのは以下の行為である。


1. 加点


 ・頭部への頭突き(ヘッドバット)…5p

 ・踏みつけ、サッカーボールキック…5p

 ・頭部への振り下ろす肘(12-6エルボー)…5p

 ・ガードされていない頭部への打撃…3p

 ・ガードされていない腰より上への打撃…2p

 ・腰より下への打撃…1p

 ・ガード上からの打撃…1p

 ・グラウンド状態でトップポジションを10秒間キープ…1p

 

2.減点

 以下の行為は判定ポイント減点の対象となる。


 ・足技をキャッチされる…-2p

 ・グラウンド状態で30秒間経過し明確なパウンド or サブミッションの試みがなくスタンド状態にも戻れていない…30秒ごとに-3p

 ・反則、禁止行為…一回につき-10p

 

※RCAの判定は、厳密なポイントシステムによって執り行われ、レフェリーの主観の介在余地を極力低減させるものとする。判定ポイントにおいてもなお勝敗が決せられない場合に限り、延長ラウンドを行うものとする。



第六条 反則・禁止事項:

RCAルールにおいては、以下の行為は反則となる。反則は一回につきイエローカード一枚、3枚となった時点でレッドカードとなり反則負けが確定する。また反則行為を行った場合、上記の通り判定ポイントが減点される。反則行為の対象となるのは以下の行為である。


・噛みつき

・眼球、粘膜への接触

・後頭部・延髄・脊髄・喉・爪への打撃

・正面方向からの腰より下へのタックル(通常MMAでは頻出技であるがRCAでは実戦性と後頭部等への攻撃禁止とのバーターにより禁じられる。上半身を起点とする投げ、足払いによる下半身からの崩し、後方からのタックル(スープレックス)などは認められる)

・一度身体から離れた道着、帯を再度手にする行為

・レフェリーの指示に従わぬ態度(反射ではなく意識的と認められた場合)

・ラウンド中におけるセコンドから選手への声掛け(激励、アドバイス等は一切禁止)


※反則行為があった場合、その後ドクターチェックを行い、反則行為により試合続行不可能な程の負傷があったと診断された場合レッドカードとなり反則負けとする。


以下は大会運営上の禁止行為となる。


・選手の紹介、煽りV、入場曲、ラウンドガールなどの演出

・客席から特定選手への声援や垂れ幕などによる応援行為(再三に渡る場合退場・出禁措置をとる)


※RCAは格闘技を科学的・実験的に検証する場であるため、選手の集中と公平性を確保する観点から観客による応援行為、セコンドからのラウンド中の指示・激励を一切禁止する。

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