第7話 男の友情。
あれから1晩たち、、朝になった。
「分かってるわよね?このこと誰かに話したり漏らしたりしたら直ぐにアンタのこと消すわよ。」
「…はい。わかってます。」
(くそっ。敬語が慣れねぇ。)
大西は手錠を外し、俺を外へ出してくれた。
「俺は帰ってもいいんスか…?」
「そうねぇ。帰ってもいいけど、まずは下調べをしてくれるかしら。」
「誰のですか?」
「堀野 未来について調べてきて。バレずにね。」
(俺の知っている限りでは"堀野"と大西は仲良かった気がするけど…)
それに触れたら殺されそうなのでやめといた。
「了解ッス…まずは堀野の居場所を調べますね。」
「あの子アイドルになったから下手に行動したら全て終わりよ。」
「え、アイドル…??」
【新メンバー加入!堀野 未来です!】
「あ、ああっ!思い出した!!」
すげぇ…アイドルになってたんだな。
(まぁたしかに顔は可愛かったから)
「はぁ。良い?堀野に見つからないようにね。」
「了解です…」
「もし何か分かったりしたら連絡ちょうだい。
スマホに連絡先入れといたから。」
そう言って、大西はポケットから俺のスマホを出してくれた。
「お、俺のスマホ…っ!良かった…新品にした所だったんだっ」
大西は冷ややかな目で俺を見つめた。
「そんな目で見ないでください…」
少し口元がにやけている気がする。
(笑うと可愛いんだな…)
なんだか胸が痛くなる。
「私たち、1週間に1回は会いましょう。出来れば週末にね。」
「分かりました。また何か分かったら連絡します」
「お願いね。」
そう言って俺たちは別れた。
(はぁ、調べるっていっても、どうやって?)
ボディガードも付いてるだろうし、
しかも人気グループのアイドルじゃん。
(堀野も大西を虐めたんだろうか…愛じゃなくて堀野に恨みを持っているとしたら、相当だな…)
「さぁて、まずは…堀野のライブに行ってみるか!」
『ライブに行くにしてもチケットが手に入らねェェェ!!』
俺はデカイ声で叫んだ。
あれからパソコンで調べたが、まずチケットを
購入するにしても、熱血なファンや転売ヤーで買い占められている。
「転売ヤーから買うか?いやぁ、高ぇな。」
1つのチケットに6万も出せねぇよ。
毎月ギリギリで生活してるのにっ。
もちろん貯金もなし。
さぁて、どうしたもんか…いっその事、裏口から侵入…。
【下手したらオワリだからね】
大西の声がループする。俺は頭を抱えた。
「もう終わりだぁ。探偵じゃないのに…」
ブブッ。
スマホの着信音が鳴った。
「誰だぁ??今忙しいのに」
スマホを見ると藤原からだった。
《何回連絡しても返事こねぇし、あんな話聞いてからじゃ何かあったとしか思えねぇ。もう今からお前の家行くからな。》
「やべぇぇぇ。すっかり返事するの忘れてた。」
俺はすぐに藤原に電話をした。
「悪い!ちょっと生牡蠣に当たっちゃって…寝込んでたんだ。」
「はぁ?ホントかよ…??」
「まじだって!だから来なくて大丈…」
ピンポーンっ
「いやもうお前の家の前だし。」
【誰かに言ったら殺す…】
大西の声が聞こえて来る。
(隠し通せるかな、、藤原は勘だけは良いから)
「おい開けろよー!」
「今開けるからっ!!」
俺は扉を開けた。藤原は俺の顔を見るなりため息を着いて抱きしめてきた。
「少しくらい返事できるだろ!!!俺がどれほど心配したか、お前にわかるか?!」
今にも窒息しそうなくらい抱きしめてくる…。
「わ、悪かったって。少し離れようか。」
藤原を慰めて、とりあえず席に座らす。
「……んで、あれから妙な女と何かあったんだろ?」
(まずいっ!嘘がバレてる)
「そんなことない…よ。」
静まり返る部屋に藤原はため息を漏らした。
「ハァ、嘘はいいって。今から警察に行くぞ。」
「な、何でだ!?」
(警察はまずい…絶対殺される)
「だってお前のその腕、それ縛られた痕だろ?目も腫れてるし…」
「何かあったのがバレバレなんだよ!!」
藤原の怒鳴り声に方が上がる。
(なんでコイツこんなにキレてるんだろ…)
「落ち着いてくれ…お願いだ。話せないんだ…」
もう目で訴えるしかない。長年の友情が試される時だ。
「なんだよ……そんなに妙な女が怖いのか?」
「借金取りか何かか?」
質問攻めを食らうが、何も答えれない。
(部屋に盗聴器を付けられてたらマズイし…この会話を変えなきゃ)
「ふ、藤原!!!お前アイドルとか興味ある??」
「はぁ?」
すごく睨みつけられているが目を見れない。
「…今は話せないんだ。お願いだから…分かってくれよ、、な?」
藤原は黙る。
「…なんのアイドルだ?」
(良かった!!話題を変えれた!)
安心して藤原にパソコンの画面を見せる。
「このアイドルのライブに行きたいんだが、どうもチケットが手に入らないんだ…」
藤原は手に顎を乗せてアイドルを見つめる。
「おっ、この子、最近加入した子じゃん」
「え、お前知ってるのか??」
まさか、女になんの興味も示さなかった藤原がアイドルを知っているなんて…!
「まぁな、この子、俺の友達の妹だし。」
は……??
「はぁぁぁぁぁ!?!なんだよそれ!」
部屋中に響き渡る声に藤原が口を押さえつけてくる。
「うるせぇよ!なんだよ急に。そんな驚く?」
開いた口が塞がらないとはこういう事だろう。
(どうする…まさかの急展開だぞ…っ!!)
(でもなぁ、藤原を巻き込みたくないし…)
天使と悪魔が俺の周りをウロチョロする。
「……その友達に連絡してみようか?」
藤原がしぶしぶ言ってくる。
「い、いや!!悪いよ。俺が気になってるだけだし…!」
(さすがに巻き込みたくない…自分で何とかするか。。)
「そんなに思い悩んでるなら助けたいよ。俺は。」
急に藤原が喋り出す。
「お、お前そんなキャラだったか?」
(こいつ本当にどうした…?こんなに俺に興味ある素振り今までなかったぞ?)
「まぁ、お前が話したくないって言うなら俺は何も聞かないし待つよ。」
「でも、少しでも助けになれるなら助けてやる。」
感動のあまり涙が溢れてくる。
「藤原ぁぁ…お前、良い奴だなぁ!!」
「ちょっ、抱きつくなよ!」
(これが男の友情ってやつなのか…藤原と友達で良かった…)
ボソッ
「これで少しは仮は返せたかな…」
「ん?何か言ったか?」
何でもないよ。と藤原は笑った。友人というのは心強い。
…俺が喜びを感じる度に大西の顔が浮かぶ。
自分のせいで苦しめられた人間がいると思うと、生きてていいのかと自問自答してしまう。
「大西…ごめんなさい。__________。」
人罪 夜野 澄香 @Mary_is
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