第6話 復讐の付き合い。

台風の影響だろうか、窓ガラスが今にも割れそうな勢いで音を立てている。


(あぁ、今何時なんだろうか。あとどれ位で解放されるんだろう。)


絶望に陥りながら雨の音を聞いていた。


大西に出会ったのもちょうど雨の日だったな…


あの本屋さえ寄らなければ俺は普通のサラリーマンだったのに。


(いや…大西の言ってることが本当ならどんな運命でも出会うことになってるのか。)


大西の祖母の話を聞いて俺は考えていた。


『なんで生き返ったのか私にも分からない』


ただ大西自身も理解していないことから、不明な点がいっぱいだ。


閉じ込められた女の子が大西を自分と重ねて助けたとかな…。


そんな有り得ない想像をしているうちに鍵穴を回す音が聞こえてきた。


「あれもう起きてたの?」


「こんな状態で寝れるわけが無いだろ。」


俺が苛立ちの声でそう言うと大西が笑い出した。


「それもそっか、私は虐められてる間はずっと寝れなかったけどね。」


その鋭い声に何も言えなくなる。


「良い?あんたの命は私のこの本にかかってるんだからね?いつでも殺せるのよ。」


(そんな脅しありかよ…)


俺は死にたくない気持ちでいっぱいだった。


(どうすれば許してもらえるんだろう)


いや、許す許さないの問題じゃないよな…


「俺にどうして欲しい?」


そう言うと大西が口を開いた。


「私をいじめた女、"堀野未来"を殺すのを手伝うのよ。」


大西が笑いながら言った。


「こ、殺すなんて…なんで俺が?」


縛られてた縄を大西が解きながら喋り出した。


「あんたは女子から人気者だった。顔が良くて両親が医者と大学教授。

まさにエリート族って言われてたのよ。」


いじめの発端を作り出したのはあんただからよ。


(なんで俺が…?何もしてないのに…)


「生活委員会で一緒だったの覚えてる?」


花を植えようってなって、


その時にクラスのカースト上位だった愛も

手伝いに来てたの。


佐々木くん目当てだろうな…早く帰りたいっておもってた


愛の行動はお見通しで花を植えるどころか佐々木くんの傍で話しかけてるだけだった。


するとアンタは愛にこう言ったのよ。


「はぁ、俺は騒がしい女は嫌いなんだよ。だから大西と一緒のペアになれて安心してたのに。」


愛の表情が一気に曇ったのを今でも忘れられない。


大西が俯きながらそう言うと俺は身が固まった。確かに、そう言われれば言った気がする。


「え、じゃそれが原因で虐められたってことか?」


「そうだよ…!!あの時あんたが愛の機嫌を損ねなかったらっ」


大西は震えている。


(やべぇ、俺にはなんの関係もないと思ってたのに。)


(めちゃくちゃ俺のせいじゃん)


大西は立ち上がって俺を見下すような目で見下ろした。


「だから…あんたにもこの復讐手伝ってもらうわよ。」


「もし断るなら今すぐここで殺す。」


(そんなの拒否権ないじゃん…)


「……わかったよ。少なからず…いや、ほとんど俺のせいだからな」


大西は少しホッとしたような表情になった。


「あっ、言い忘れてたけど、これから私に対しては敬語でお願いね。」


「はっ!?同級生なのに?」


ポケットに入ってた刃物を俺に突きつけてくる。


「当たり前でしょ?確実にアンタのせいで私がこうなったんだから…」


「あぁ、わかった…じゃなくて、わかりました。」


こんな気持ちは生まれて初めてだ。


(大西はずっとこんな気持ちで生きてきたんだな)


俺は罪悪感にかられた。


『さァ、復讐の準備をするわよ_____。』












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る