第5話 本の正体。
俺は椅子に固定されて手足が拘束されている。
(壁がコンクリートだ。叫んでも無駄だろうな。)
本屋の女は____、いや、"大西"は手に持っているペンで何かを書いている。
「大西……なんでお前がいるんだ…?」
死んだはずの死者に俺は今話しかけている。こんなこと夢であって欲しい。
「思い出すの遅すぎません?私は一目見て、あぁ、佐々木くんだ。って分かったのに。」
クスッと笑う大西に俺は怒りが湧いてくる。
「答えになってねぇ、なんで俺は今縛り付けられてるんだ?お前はなんで生きてるんだ?」
大西は真顔になって俺に言う。
「私は確かに死にました。"あの女"に殺されてね。」
「でも生き返ったんです。何故かって?電車に引かれた時にお屋敷の前にいたんですよ。」
「それで___、、」
大西が続きを言う前に俺のズボンの中に入っていたスマートフォンが鳴った。
(ク、クソ。もしスマホが壊されたら俺はもう逃げれねぇ。)
「あ、スマホ取るの忘れてた。」
「それより佐々木くんズボンびしょ濡れじゃない笑、お漏らし?」
大西がゴム手袋を付けて俺のズボンを引っ張る。
「や、やめろ!!」
あのショットガンの衝撃で俺は漏らしてしまっていた。
こんな状況とはいえ、昔の同級生の女にズボンを脱がされるのは屈辱的だった。
「恥ずかしがること無いじゃない?」
【だって私が同じことをした時に貴方は笑ってたんだから。】
あぁ、大西が虐められて教室で尿を漏らしてしまった時、俺たちは確かに心配するどころか笑っていた。
"これは大西の復讐なんだ"
もう全身の力が抜けて諦めていると、床にころがっている日記に目がいった。
〈10月12日、佐々木と大西が再開する。佐々木も"この本'について知るだろう〉
いまさっき書いたのだろう。文字が微かに滲んでいる。
「その日記帳って……」
小さく呟くと大西は手を止めて笑った。
「この本に書くことは全部本当のことになるんだよ。」
「私はね、お屋敷の中にあった本を手に取ってみたの。」
殺されたのが悔しくてペン立てにあったペンを取ってこう書いた。
『私を生き返らせて』ってね。
すると目の前が突然真っ暗になって私は眠っていた。気が付いたらあの駅のホームで倒れていた。
足には擦りむいた傷があった。
「痛い…」
血が乾いてヒリヒリする。本当に生き返ったんだと悟った。
なんで私が生き返ったのか、
あの本は何だったのか、お屋敷のことも…。私も何一つ分かっていない。
ただ一つ言えることは六つの時、祖母にこう言われてた記憶がある。
【祖母の記憶】
おばあちゃんの住んでた村にはねぇ、
大きなお屋敷があったんよ。
500人にも満たない小さな村だったからそのお屋敷は目立ってねぇ…
そのお屋敷には誰も住んで無かったんだど、
おばあちゃんがアンタくらいの歳に
同い年くらいの女の子がねぇ、"かくれんぼ"でお屋敷の中に入っちまって行方不明になってもうたんよ。
結局その子は錆びれた鏡の棚の中から出れなくなって亡くなっちまったみたいでさ…。
それはもう可哀想だったねぇ…
でも後から分かったことだけど、
その女の子は虐められてたみたいで…
本当は遊びじゃなくて無理やり閉じ込められたんじゃないかって噂があったけど、
加害者の女の子の親が権力のある知事だったからねぇ、その話は揉み消されたみたみたい…
いつからかそのお屋敷の中に入ったものは消えた…
もしくはそのお屋敷の中に"願いが叶う本"がある。とか都市伝説みたいになっちまって…
おばあちゃんの村は潰れちまったけどそのお屋敷だけは未だに取り壊されてないんだよ…
今じゃ肝試しやら何かに使われてそうだけど。
「そのお屋敷の中にはまだ女の子が一人で泣いてるのかな…」
幼かった私は女の子が可哀想で仕方なかった。
祖母は優しく微笑んで、
「桜花は本当に優しいねぇ、おばあちゃんは幸せもんだよ。その女の子もきっと桜花となら友達になれて幸せだったろうにね…」
【私の記憶はそこで途絶えている。】
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