第2話 藤原 裕太

俺は混乱している佐々木の背中をさすりながらさっきまでの話を聞いていた。

「うん、だからあの本を触った瞬間に違う世界に行ったって事だな?」

「さっきからそう言ってんじゃねぇかよ、」

佐々木が手に持っていたグラスを机に叩きつけた。

(だいぶ混乱してるな…)

「まぁ、落ち着けよ、お前がその女に恐怖心を抱いてたから幻覚が見えただけかもしれねぇだろ?」

俺が呆れながらそう言うと、

「それも一理ある、でもあれは可笑しいんだ。説明できないがあの女の目を見てたら、

"あの時"の事を思い出すんだよ。」

フラッシュバックする親友を前に俺はどう声を掛けたらいいか悩む。

佐々木とは大学時代からの親友だ。

グループワークに馴染めずに居た俺を

気に掛けてくれた時から、つるむようになってもう5年が経つ。

『藤原だっけ?俺も"左利き"なんだ〜、何かと不便だよな』

佐々木がそう話しかけてきてくれて嬉しかった記憶がある。

でも佐々木は時々おかしな言動をする事があった。それは決まって雨の日、佐々木は

誰かに責められてる訳でもないのに異常に

謝る時があった。

人が変わったかのように萎縮する佐々木に

理由を聞いても、はぐらかされて答えてくれなかった。

俺は親友を救いたい。あの時のお礼を返したい。

「なぁ佐々木、その女の名前は知ってるのか?」

佐々木は俯きながら答えた。



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