奴が死ぬまで……、俺は立ち上がる


 チャンスは……一度きりだ。


 だから俺はずっと狙いを定め続けていた。

 この攻撃ができる一瞬。奴があの攻撃を繰り出す一瞬を。


「aaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」


 大剣が無くなったお陰で奴は接近戦中心となっている。

 リロードする暇無く俺が攻撃を加えているせいだ。

 そして今、この時こそ好奇。


「しまった!!!」


「aaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」


「ユウキ!!!」


 

 意図的に奴の攻撃を引き受け、吹き飛ばされる。

 ビルに派手に激突して俺の頭はクラクラと動きを止めかけてしまう。

 奴はその隙に銃弾のリロードに入った。


 確実に仕留める為だろう。

 それにもし仕留められなくても時間稼ぎに使える。

 奴は最悪グロリアが取れるまで俺をあしらっていれば良い。

 ここで銃のリロードをするのは正しい選択だ。



 ……だがその行為は罠。

 

 俺はあえて吹き飛ばされる事で奴に銃のリロードをさせ、銃を撃つように促しているのだ。


「死ね!!!」


 奴がリロードを終わらせる前に、俺は秘密兵器として取っておいたリボルバーを使う。

 奴がリロードしてるのを見て、慌てて反射で撃ったような表情と動き。誤魔化せてくれよ…。


 銃弾が奴に迫る。

 これが外れたら俺は間違いなく死ぬだろう。

 なぜなら銃を撃った俺の左腕は完全に折れているのだから。


 音はそのまま。だが威力は絶大。

 これが市長に頼んでもらい改造してもらった俺のマグナム。

 弾丸は奴の眼前目掛けて突っ込む。



「aaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」


 それを止める為、奴はあの時のようにビリヤードを選択した。

 奴の銃から発射された弾丸は俺の銃弾に直撃。本来ならばここで軌道はズレ、もう一つの銃弾が俺を襲う。


「やべえ!!!」


 だからあえて俺は銃弾から逃げようとする。

 だが動けない。先程の攻撃でどうやら俺の下半身は瓦礫で埋もれてしまったようだ。

 イヤホントコマッタナー。


「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」


 奴は勝利を確信したような雄叫びを放つ。

 俺はその様子を見て、内心でにやりと嗤った。












「自分の肩を壊すほどの威力! 更に超高温の弾丸ですって!!!」


「ああ。奴は必ずビリヤードをやる。隊長の悪い癖だからなあれは。だから事前に対策を用意する必要がある」


「しかしそれは! ……貴方の腕が完全に壊れますよ?」


「望むところ。それぐらいの覚悟をしないとアレには勝てない。……頼みます」


「………………分かりました。ですが必ず!必ず生きて帰ってくるんですよ!!」




 弾丸から発せられた熱で奴が撃った弾丸が溶けていく。

 そして溶けていく所に高威力の弾丸がぶつかり、俺の弾丸が突き抜けた。

 そしてその後ろに隠れたもう一つの弾丸も破壊される。


 ……弾丸弾丸言い過ぎてゲシュタルト崩壊しそうだな。



「aaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」


 奴が驚いたような声を上げた。


 だがもう遅い!!!



 俺の弾丸は奴の脳天を貫いた。頭が完全に抉れ、巨体が数メートルは吹き飛び何度もバウンドする。



 そして完全に沈黙した。





「いや! まだだ!!!」


 こういう時こそ油断は禁物。やりすぎるぐらいが丁度よい。

 折れた腕を近くのビルの壁に叩きつけ、無理やり折り直す。


「つぅ…!」


 痛い痛い痛い!!!

 だが気にしない!!! 今は動き続けなければ死ぬ!

 再びリボルバーを構える。熱に耐えられず銃身が溶けかけ照準が定まりずらい。

 更に手が完全に火傷した。握る手が痛みで震える。



「a……aaaa……」


 頭が半分吹っ飛んだのにも関わらず、奴は再び動き始める。

 とんでもない生命能力。

 ゾンビという名に相応しい。だがもうお前に次はない。


「これで! 終わりだ!!!」



 もう一発放たれた銃弾が奴の脳天を完全に粉々にする。

 左腕が完全にお釈迦になった。

 だが完全に奴は倒れた。俺の……勝ちだ。



 干渉に耽る時間は無い。

 俺はすぐに奴の側に走り出し、体を漁る。

 そして遂に俺は発見した。奴が管理していたバリアの解除キーを。


「あった!!! 待ってろ皆! すぐに助ける!!!」



 バリアのあるトラックには護衛が数名しか居なかった。

 他の奴らは皆死んでいる。

 様子から察するに遠くに居た仲間達からの狙撃で減らされたのだろう。

 他の皆は現在戦闘中。



 ……段々押されてきている。グロリアがまだ耐えられているかも分からない。

 急がなくては。


「来たぞおおお!!!! 撃て撃て!!!」


「うわあああああ!!! 死ね怪物がああ

あ!!!」


「こんなの作ってるお前らが言うなよ……」



 少しムカッと来てしまった。

 左手はもう使えない。もう片方の手に持っている刀で俺は奴らを斬り殺す。

 隊長ゾンビとは違い、バカみたいな威力と速度をした銃では無いから楽々と攻撃を避けられる。

 皆これぐらい楽な敵だったら良いのにな…。



「よし…ここにはめ込めばいいんだな」


 見張りは全員消せた。後はバリアにある変な窪みにこのキーを入れるだけ。




「!?」


 だが何か、嫌な予感を感じた。

 咄嗟に体を屈める。すると俺の真上を車が通り過ぎた。


「なんだと!!!」


 車はバリアに当たると派手に壊れ、その場に落ちてくる。

 俺は何とか車を回避し、車が向かってきた方角を見る。


「…………は?」


 思わず声が漏れる。


 俺の目の前には奴が……、隊長ゾンビが首がない状態で立ち上がっていたのだ。





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