第2話 仕事させられる。。。?

俺が部屋に足を踏み入れると、イスに座っていた男女がこちらに視線を向けてきた。

中年の男は親しげな笑顔を浮かべて手を振ってきた。女性はタブレットを手から離すことなく、軽く会釈するだけ。


「いやーお疲れ様です、霧島淳太さん。ようこそ、魂転送課・第二係へ!」


「……た、魂転送課?」


「はい! 私、ここの係長の**白川(しらかわ)**と申します」

そう言って、中年男性――白川係長は立ち上がり、ぺこりと頭を下げた。


「で、こちらが私の補佐、九条(くじょう)ミサキさん。事務全般とスキル振り分けの審査をやってもらってます」


九条さんは無表情のまま、手をすっと前に差し出した。「よろしくお願いします」と一言だけ。声も綺麗だけど、完全に仕事用テンションだ。


「あの、ここって……やっぱりその、死んだ人が来るところなんですか?」


「はい、そうですそうです!」

白川さんは人懐っこい笑顔でうんうん頷く。


「正式には“魂遷移管理庁・異世界部門”ですね。まぁ私たちはその中でも、“特例転生処理対象”を担当しています」


「……特例?」


「自分の意志で誰かを助けようとして死んだ人、または強い未練を残してる人。そういう“運命をちょっと逸れた”人が対象です。つまり霧島さん、あなたみたいな人のことですよ」


そう言われても、まだ頭が追いつかない。けど、確かに自分はあのとき、少年を助けるために動いた。身体が勝手に動いたっていうか、反射的に。


「それでですね、こちらが転生用の説明資料になります」

白川さんが俺の目の前に、ファイルをポンッと置く。


「この部屋であなたにしてもらうのは、主に三つの手続きです。

 一、転生先の選定。

 二、スキルおよびステータス配分。

 三、人生の希望条件の申告。」


「人生の希望条件?」


「ええ、例えば“ハーレム作りたい”とか、“貴族になりたい”とか、“今度こそモテたい”とか。そういうのを最初に出してもらえれば、なるべく配慮した転生先をご案内してください」


……完全に就職の面談だ、これ。


「ちなみに今、魂転送課では五つの異世界を扱っています。ざっと説明しますね」

九条さんがタブレットを操作し、モニターに5つの世界の名前と特徴が表示された。

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死社 さしみ。 @sasamin0319

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