死社

さしみ。

第1話 見慣れた景色。

「俺は、あぁ。死ぬのか。。」よくある展開。漫画とか小説とかアニメである転生物語の前の瞬間でよくある走馬灯。今まさにそれの最中。スローモーションでトラックに轢かれる前。


さて、今から死ぬ予定の俺は霧島淳太36歳独身彼女いない歴6年。中小企業営業サラリーマン。

ちなみに顔は普通の顔だと思う。


なんでトラックに轢かれるかと言うとボールを追いかけた少年が道路に飛び出した。それを助ける為に足がついつい勝手に動いたんだ。

まだやり残したことが沢山あった。結婚ももちろんしたかったし、子供も3人ほど作って幸せな家庭も欲しかった。孫の顔くらいは見て死にたかったな。


前置きはいいとして、はい。轢かれます。

トラックのクラクションと共に「ドンッ!!」と俺はまるでだらーんと力の入ってない人形のように吹っ飛ばされた。


次の瞬間。視界が真っ暗になった。どうやら即死だったようだ。よかった。ジワジワ痛い思いして死ぬのはごめんだ。

と同時に不思議にこんなことを思う。

「あれ?意識がある。」

死んでない。考えれるって事はつまり生きてるって事だよな。

身体の感覚がある。瞼を開けれると思ってゆっくり目を開けてみた。

すると視界にものすごい風景が入ってきた。


目の前に10メートルはあるデカい門。血の色をした門で、訳のわからない模様だけど、すごい彫刻。

辺りを見回したけど、デカい門と真っ白な風景しかない。

さて、この門を開ければきっと女神とやらが現れて最強スキルをもらって転生先で無敵なんだろうな。と思ったが、開け方がわからない。

ん?門の横に現世でよく見たインターホンがある。

何も考えずとりあえず押してみたくなるもんだ。

「ピーンポーン!」と響く。

インターホンから50〜60代?くらいの男性の声が聞こえた。


「はいはい!今開けますね〜!」と同時に扉が手前に「ギィイイ」と開いた。

俺は後退して扉が開ききるのを待った。


その先にはよく見たことあるような風景が飛び込んだ。

会社のオフィス。すごく小さいオフィス。5坪くらいかな。

ワークデスク2つ、その上にデスクトップパソコン2台、ワークデスク前に車輪付きの丸いイス。家にあるような長方形の机とソファ。

そして椅子に座ってる、声の主と思われる50〜60代の男性と20〜30代くらいの女性の2人がいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る