第12話彼女からのSOS
僕が覚醒し、瞼を上げると佐渡が胸で顔を埋めてすすり泣いていた。
「うぅぅ……ぐすっ、うぅっ、うわぁぁ……今村くぅーんぅっ……助けてぇ……お願ぁいぃっ!!」
「うわぁっ……!!なっなんなの?助けてって……?」
「起きてくれた……あのね、ぐすぅっ……たぁ、高砂さんにめちゃくちゃにされて、怖くてあのっ、あのっ——」
「ねぇ姉が佐渡さんを……怖いのは解ったから、落ち着こう?ね、落ち着こ。うんうん……」
僕は上体を起こし、彼女をベッドにあげて慰めた。
「——大丈夫だよ。それで、なにがあったの?」
「うん……ありがと。昨日、私ぃ……休んだじゃん?あの人に捕まったの、登校してたら……車に乗せられて、ラブホに連れてかれ、色んなことぅ……された。助けてぇ、今村くん!お願いだよぉ!」
瞳を潤ませ、泣き腫らした顔で、彼女が説明して縋り付く。
「そうだったんだね。わかった、僕にやれることはしてみるから。幾らか躱せると思う。知らせてくれてありがとう、佐渡さん」
「今村くん……ありがとう」
「感謝されることなんてしてない……怖いめに遭わしてごめん」
昨日、金曜日に佐渡は無断欠席をして、教室がざわついた。
叔母が元凶だったらしい。
両親は外出しており、施錠をして、警戒心を抱き、二人で過ごすことになった。
まず、リビングで向かい合って朝食を摂ることにした。
9時15分を過ぎた頃に、自室に戻り、叔母の訪問を警戒しながら、漫画を読んだりスマホで配信されているアニメを観賞したりと、ベッドの上で寛いだ。
放課後のようなセックスに及ぶ行為等は誘惑してこなかった彼女だったが、一度だけスマホの画面を見せながら視線を送ってきた。
そのときの彼女のスマホの画面に表示されていたのはセクシーなブラジャーとショーツを身につけた黒髪の女性がポーズをとっている画像だった。
11時40分過ぎに彼女のスマホに着信があり、谷戸宇が相手だったようだ。
昼食も無事に摂り終えられた。
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