第6話 未知なる魔法と街の秘密――異世界の理を知る

朝霧が薄く街を包み込む中、ナオミアは重い扉を押し開けて冒険者ギルドへと足を踏み入れた。

そこはこの街の情報が集まる中心地であり、多種多様な依頼が飛び交う戦場のような場所だった。

木の床は長年の使用で磨かれ、壁には過去の英雄たちの肖像画が掛けられている。

その一つ一つが、まだ見ぬ異世界の歴史を静かに語っていた。


「今日も忙しいね」

受付の女性がにっこり微笑みながら、ナオミアに仕事の書類を差し出す。

その手には、新たな依頼がぎっしり詰まっていた。


ナオミアが改めてこの世界の仕組みを理解しようと努めると、数多の魔法やスキルが日常に溶け込み、生活の隅々にまで影響を与えていることに気づいた。

例えば、「マナ」と呼ばれる魔力の流れがこの世界には存在し、それを操ることで攻撃や治癒、探知といった様々な効果が生まれる。

ただし、魔法の扱いは個人の素質や修練に大きく左右され、万能ではない。

この世界の貴族たちは血統や才能で魔法を独占しがちだが、ナオミアのような者でも工夫次第で強みを活かせると、彼女は確信していた。


また、街の構造にも秘密があった。

城壁の外には広大な森が広がり、魔物たちが潜む危険地帯だが、その森の奥深くには「霊脈」と呼ばれる魔力の源が走っているという。

この霊脈の影響で、この地の魔法は他の地域よりも強力であり、また異変を引き起こすこともあるらしい。


「ナオミアさん、最近の魔物の異常発生はこの霊脈が原因かもしれません」

ライアスが静かに告げる。

彼は副団長として、街の防衛と調査に常に目を光らせていた。


ナオミアは資料に目を落としながら、改めてこの世界の複雑なバランスに気を引き締めた。

前世の知識と新たな世界の理を組み合わせ、彼女は少しずつ「異世界での生き方」を形作っていく。


そして、そんな日常の中で、小さな変化も生まれ始めていた。

ライアスの視線が時折柔らかくなる瞬間や、街の人々の温かい笑顔が彼女の胸に新たな感情を芽生えさせていた。


──仕事も、異世界の秘密も、そして恋も。

ナオミアの冒険はまだ始まったばかりだ。

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