第2話 社畜魂、異世界ギルドで爆発する!

街の中心部にある冒険者ギルドは、思ったよりも賑やかだった。騒がしい子どもたち、険しい顔のベテラン冒険者たち、そして緊張感を漂わせる新人たち。


 「……なんでこんなに人手不足なの?」


 受付で手渡された依頼書を見ながら、私は思わずつぶやいた。


 ここで働くには、何か特別な才能や魔法の力が必要だと思っていたが、どうやらそれだけではないらしい。


「お嬢さん、こちらの仕事をまずやってみてはどうだ?」


 声の主は、受付の中年女性。淡々とした口調だが、どこか温かみがある。


 依頼内容は「小規模な荷物の配送」。異世界でいうところの雑用だ。


 だが、私は迷わなかった。


「了解です! 効率よく、確実に届けます!」


 前世の社畜魂が、ここで早速発揮される。


 配送ルートの地図を確認し、依頼主に挨拶し、荷物の梱包をチェック。無駄な動きを排除した計画を立てると、スムーズに作業は進んだ。


 その姿を見ていた一人の男性が近づいてきた。


「なかなか見事な段取りだな。君はただ者じゃない」


 声の主は、王国騎士団の副団長ライアスだった。


「え、あ、ありがとうございます……!」


 私は動揺しながらも、正直に前世のことを話す。


「実は、前の世界で営業職をしていまして……。効率とコミュニケーションは得意です」


「なるほど。異世界の魔法や剣ではない、別の力か」


 ライアスは興味深そうに私を見つめる。


「君なら、この国の再建に役立つかもしれない。ぜひ、協力してほしい」


 私は思わず胸が高鳴った。


 ──異世界でも、仕事ができる。必要とされる。


 その言葉が、私の新しい人生の始まりを告げていた。

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