第3話 脱獄計画

―あいつに仕返しして、この街を抜ければいいんじゃ?

そう思ったギアは、脱獄を決断したが、脱獄の手口が見当たらない。

一つ抜け道があるとすれば、ギリギリ手の届く窓のようなものしかなかった。

「窓は壊せるとして…手前にある鉄格子は何なんだ?」

窓から逃げさせるかと言わんばかりに鉄格子があり、窓の向こう側しか見えない。


この刑務所は王都の外側に隣接していて、窓の外は王都の壁の外である。

王都の中と比べて野生魔獣が多く、生息している。


魔獣にこの鉄格子…というかこの壁ごと吹き飛ばせないだろうか。

ギアの能力は「魔獣操作」であり、見た魔獣なら操作することができる。

だが、周りにいる魔獣はどれも小さいものばかり。

無害な魔獣もいれば、有害だがそこまで有害ではない魔獣もいる。

王都の周りにはそんな魔獣しかいない。


ギアの魔獣操作は欠点があった。

「凶暴で人間にとって有害な魔獣しか操作できない。」

これでは、魔獣も操作できない。

結局、ギアは「脱獄をあきらめよう」と考えた。


その時だった。ギアの目の前にあった壁が粉々になったのは。

 「逃げろ。お前のしたいことをやらせてやる。」

そう、壁を破壊した男はギアに言った。

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