第2話 ギアと刑務所

これは、リアが冒険者を初めて少し経った頃のギアの物語である。


「はぁ、ここでの生活も結構慣れてきたな…」

特に何もすることがなく、あるとしたら少しの事情聴収、そして労働。

いつもみたいに魔獣を倒すだとか、そういうのが無いから暇である。


そう思うと、どんどんリアへの憎しみがたまってくる。

「あいつが俺をボコボコにしなけりゃ、捕まってなかっただろうに。」

毎日毎日同じようなことを考えるのだが、過去は過去。

日々愚痴ってはいるものの、なかなか憎しみが晴れない。


「…釈放されたら、絶対あいつのことを殴ってやる!」

どう考えても無理だとしか言いようがないことを言う。


 「あいつ、ずっとぶつぶつ言ってるぜ?」

  「変な囚人だな。脱獄でも考えてじゃないっすか?」

そう一人の看守が言うと、「ハッハッハ、無理に決まってるだろ!」と言った。

それを聞いて、ギアは少しばかり考える。


―あいつに仕返しして、この街から逃げればいいんじゃ?


こうしてギアはこの刑務所から脱獄するのを決断したのであった。

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