【呼ばわりの山】創作のきっかけとの章立て解説

【呼わばりの山】と言うのは、八王子の今熊山に登山したところ山頂に今熊神社の奥社がありまして、その裏手に茶碗の架けたものなどが幾つか見られたのでちょっと気味悪いなあと思って今熊山のことを調べましたら、この山が失せ物や失せ人を呼び戻す呼わばり野山としての因習があるとのことでした。


つまり行方知れずになった人のなにかの印になる茶碗などを持って行き、山頂で割って供えることで行方知れずになった人が戻ってくるなどの言い伝え的なものがあるらしことがわかりました。

それでそのことでなにかお話ができないかと思って始めたのがツイッター連載小説ふうな【呼わばりの山】でした。途中で飽きてしまい長く未完のままですが今回完成作品に仕上げました。



第一部:呼ばれしもの

第1章:山に消えたヨネ

ゴン作の妻ヨネが今熊山に入ったまま戻らない。


ゴン作は毎日山に通い、祈りを捧げる。


夜中、戸を叩く音。現れたのは帰ってきたヨネ。


第2章:再会と約束

ゴン作とヨネの静かな老後。


ゴン作は寿命を全うして逝く。


ヨネ、葬儀を終えた後、忽然と姿を消す。


第3章:再び呼ばれしヨネ

年月を経て、別の村にヨネに似た若い女が現れ、結婚。


また夫を見送り、再び姿を消す。


「ヨネはよそ者じゃでの」と村人が噂する。


第二部:時を彷徨う女

第4章:ヨネという名の記憶

誰もヨネの素性を知らず、ヨネ自身も記憶を失っていく。


民話や伝説の中に現れる「ヨネ的存在」たち。


第5章:ローズという名の時代

1912年、タイタニック号に乗っていたヨネ。


遺産相続と新しい名「ローズ」。


恋人ジャックとの儚い関係。


第6章:永遠の命の苦しみ

幾度も死のうとするが死ねないヨネ。


愛した者すべてを見送り、子を持たず、彷徨い続ける。


第三部:星と魂の行方

第7章:三千世界の果て

時空を越え、異星の知的生命体と接触。


言葉も感情も交わせぬ孤独の極地。


第8章:再構築されるヨネ

意識が自在に時空を移動できることを発見。


移動先で肉体を再構築し、幾千の姿を生きる。


第9章:戸を叩く者

再び今熊山の近く、夜更けに戸を叩く音。


ヨネを思わせる目を持つ少女の訪問。


茶碗のかけらと共に現れ、名を告げず消える。


最終章:呼わばりの声

ゴン作の末裔か、誰かの魂がまた呼ばれていく。


呼ばれる声と応える存在が、この山を永劫に巡る。


そしてヨネの旅は、まだ続いている——

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