学校の怪談「図工室の写し首」

沼モナカ

第1話

―――ねえ知ってる?図工室に並べられた粘土なんだけど…

「忘れもの、忘れもの」

あーあ、どうして忘れてたんだろう。

せっかく帰りの時間になったのに図工室に忘れ物があったよ。

だーれもいない図工室。

夕方の太陽の光で全部オレンジ色に染まってて、授業の時とは違う感じの空間だ。

ふと、右の方に目をやる。

卒業生が作ったっていう紙粘土の自画像が並んでいる場所がある。

何だか気味が悪い。その上よせば良いのに嫌な話を思い出す。

何でも、自画像のうちの一つが、作った次の日に交通事故で死んだ生徒の物なんだと。

「あーやだやだ。忘れ物はっと…」

ふと、自画像達の方に顔を向ける。

自分でも分からない。なんで目を向けたんだろう?

いや、でも、”何か”が、”何か”があったんだ。

いや、いた?でもあった?

自画像達に近づく。

”何か”を見つけるために「首」の一体、一体に目を凝らす。

時計の針は残酷にも進み、夜の帳が、少しずつ、少しずつ息をかけていた。

「あ」

息を飲んだ。

卒業生を模したであろう首なのに、自分の顔そっくりのモノがある。

誰もいなかった。

人の気配が何もなかった


―――だから、夕方の図工室は行っちゃいけないんだって

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