第5話 カスメ城
歓迎される意味が解った。
クロノ領の税率が5割で、カスメ領の税率は8割だそう。
わしが、ここの長男のトルダに嫁ぐ事になっており、婚礼祝儀で税率が3年間7割になるそうで、そんな
わしは、集まる村人に演説をたれた。
「皆さん聴いて下さい!」わしだって、上品に話せるんじゃぞ。
「これから重大なお話をいたします、静かにして聴いて下さい、私は皆さんにお約束致します! このカスメ領を私が統治して税率を3割にすることを!!」
「マンバ姫様! そりゃぁ豪勢な話じゃが、そんな無茶苦茶トルダ様がゆるさねえだ!!」
「んだ不可能じゃね?」
「トルダなどの許可は不用です! 何故なら、これから私が出向いてカスメ家一族を亡ぼすからです!!」
「そりゃぁ穏やかじゃねえだな!!」
「先日我がクロノ領地にカスメ軍が侵略し、両親と兄を亡き者にしトルダがクロノをカスめ取る、無謀な作戦が実施されました。陰謀は兄と私で阻止しました。その時の生き残り兵が、そこに並ぶ14人です」
「なにぃーそんな無茶苦茶があっただか?」
「間違い有りません! カスメ兵士の皆さんそうですね!!」
兵は全員無言でしたが、はっきりとうなずきました。
それを見ていた群衆は憤りを覚えたようで。
「うちの領主はバカじゃね」「うわーーっ信じられん!」「ひでぇ話だべ!!」
「トルダ様は威張り散らす生け簀かねえ」「マンバ姫様とは大違いだべ」
「マンバ姫様が怒る訳じゃな」
てんでに日頃のうっぷんが吹き出て居ます。
「でも姫様お一人で大丈夫なんですか?」
「使役したシルバーウルフが5頭居るので大丈夫よ!!」
「ありゃぁ! その立派な狼は、シルバーウルフだっただか」
「一頭で街を亡ぼす災害級の化け物と言われるシルバーウルフだか?」
「使役? 確かに、おとなしくしてるだな!」
「姫様ついでに教えて貰えます?」
身なりの良い学者風の人が真面目な顔で聴いて来ます。
「何?」
「さっきの話、税率3割じゃ姫様が大損、金が無くて統治できなくならないですか?」
「大丈夫よ良い? わずか2割で生活して来た、農家や商家の皆さんが7割で生活出来るのです、生活に余裕が生まれ今までより美味しいものが食べられる、良い物が買える」
「それで?」
「今までより高価な物を買い、商家にお金が移る、儲かった商家は多く納税してくれる! 損はしないでしょ? 今までのように、領主だけ潤うんじゃ無くて、皆が潤う!」
「ふむ!」
「経済とは、お金が淀みなく流れる状態を作る事が大切なの!」
「凄い! 姫様!!」
「んだ! ワクワクして来る話だべ!!」
「マンバ姫様が統治して下さったら、夢みたいに住み良いカスメになるわね!!!」
「2割しか残らなくても、何とか暮らせてる、それが7割も残るようになるのよ! 絶対住み良くなるよ!!」
「皆、納得したかしら? じゃちょっとカスメ城に行って懲らしめて来るわね!!」
(あぁーーー喉がこそばゆい!! 上品言葉はムズムズするーー)
カスメ兵は駆け足を始め、わしとコロ達が追い掛ける。
強行行軍の再開です!!
振り返ると、群衆がゾロゾロ後をついて来ています。
(振り切る訳には行かんじゃろうな、速度が大幅に落ちる事になるが)
「まっ良いか。その時歴史が動いたかな? なんてね」
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