第4話 領地を増やして来るぞ

 山賊改め、お隣、山向の領地を、統治して居るカスメ家の兵、カスメ兵共は、訊問に素直に答え協力的じゃった。


 父上の訳の解らん話を打ち切り、賊どもを訊問にして正解じゃ。

 逆らった上官が、目の前でボリボリ狼に喰われびびった?

 いやいや! 潰れて肉塊に成った兵以外、14名の傷骨折を全て治してやったんじゃぞ!

 わしに、憔悴しょうすいしたからじゃ。

 わしが話し掛けると、プルプル振るえ平伏するのが、良い証拠じゃ、金玉もきゅんと可愛くなっておる。

 お漏らしの罰に、下半身はすっぽんぽんじゃからよう見える!


 カスメ兵が、素直に話した内容は。


 カスメの間者により、僅かな護衛で領主家族が領内を巡回中、森の状態調査をする事まで、全て筒抜けになって居ったそうじゃ。

 ついでに、間者3名の名とクロノ家での役職も話してくれた。


 1名重鎮の名が含まれて居った。

 カスメ兵達への指示は、クロノ家の姫以外は殺すか、捕らえたなら連れて来いとの事じゃ。

(わし以外は殺すとな? どう言う意味じゃ??)


 今回の顛末を知っても父上、豚まんオヤジは、「解決して何より、キスケとマンバ流石我が子あっぱれ!!」で済ますつもりじゃ。


 殺された同行家臣の足軽5名に何と詫びる!!

 何も解決しちゃおらん!! 落とし前つけるのじゃ!!!

 情け無く頼り無い父上、小助に家督を譲り隠居したら?

 クロノ家は駄目じゃ、わしが何とかせんと滅ぼされ、消滅するのは明らかじゃ。



 渋る家族に、「領地を増やして来る!」わしの事は心配するな! 

と言い残し単身で出撃じゃ。


 せめて護衛兵団付けると言う小助に、ろくに戦えん兵は足手まとい! と断った。

 冷静に考えると、わしは今7歳じゃそうで普通の親なら出撃許可なんて出さんわな。


「マンバちゃんどうしたの? 人が変わったようよ?」

「母上……」

「マンバ母様であろう、母上などと呼んでおらんかった?」

「父上……」

「マンバちゃん父様でしょ、そう呼んでたよね? それにシルバーウルフを4頭も手懐けて、マンバちゃんも無茶苦茶強くなってるし?」

「小助……」「兄ちゃんはキスケだよ」


「シルバーウルフ一頭でも災害をもたらす、最悪の存在!! それを4頭も従えさせるとは……人間業とは思えん!」

「マンバちゃん! ちゃんと説明しなさい!!」

(そりゃぁ別人だから、不審に思うわな! どう言い逃れするか……えいっ! どうにでもなれ!)

「クロノ家の皆さん、わしの正気を疑うか解らんが、真実を話すじゃ」


 まず、この身体の持ち主のマンバは、シルバーウルフによって殺された。

 マンバから魂が抜けた直後、わしが、地球から追放され、空になったマンバの身体に入り込んだ。

 わしは、別の世界地球の今で言うと日本の東北に800年位前産まれた……。


 長い説明を途切れさす事無く聞き続ける、そんなクロノ家の人達はおっとりとした、お人好しで助かる。

「信じられんが、証拠まであって理路整然とした説明信じるしか無い」


「1つ理解出来んのは、ヨウカイヤマンバのヨウカイとは何じゃ?」

「ふむ……邪神は解るか?」

「神々の名だな、それが何か?」

「妖怪とは邪神のような者じゃ」

「? マンバちゃんは神様になったの??」


「神では無いが、人智を越えた者と言うなら、神に近い存在じゃな」

「凄いぞ! クロノ家から神が出現した!!」

(喜ぶのは其処か? 元のマンバが死んで居るが、外見だけで中身はどうでも良いのか? 豚まんオヤジ!!)


 結果全て任せてくれた。

 コロに跨がり、瞬時にクロノ城に到着。

 間者の重鎮含む男2名女1名の首を、わしが勝手に打ち落とした。


 クロノの森に徒って返し、生首をカスメ兵14名に持たせ、先に歩かせる。

 後を追い立てるように、わしを乗せたコロ、ヤン、ニン、トンが続く。

 コロに指示してユックリ追いかけ、駆け足行軍、我が領軍と違いカスメ兵体力あるわ!

 すっぽんぽんの下半身、若い男達は流石にプリっと良いケツしとるわい。


 後ろから見とると、プリプリ揺れる尻飽きんぞ! ぐふふっ、はっ!! あぶねぇヨダレ垂れておらんじゃろうな?


 森の中、新たな犬コロが一匹合流して来た、コロにすり寄る雌で雰囲気的にコロの嫁さん?

「白く綺麗なお前はペス」「ウォン」一鳴きして、ペスは尾を振り、わしにスリスリ可愛いやつ、わんわんとは吠えんが。


 駆け足で一気に山の頂上じゃ。

 カスメ兵が死にそうな様子、優しいわしは休憩を許してやった。

 息も絶え絶えにカスメ兵が寝転んでおる、口をパクパクかすかに何か言って居るが聞き取れん。

「オニ? いや、わしは山姥じゃ鬼じゃ無いぞ!」


 領境に生意気にもカスメ砦があった。

 休憩中退屈しのぎに、犬コロと一緒に瓦礫に変えてやった。

 ちょろちょろ反撃して来た奴らは、叩き潰してやった、50人程居ったかのう。


 これだけ休憩させたのに、まだ回復しとらんようじゃが、取り合えず叩き潰した50人から着れる物を探させる。


 14人はお漏らししたため、下半身はふりちん状態、カスメ城下町を通るには、すこーし可哀想な状態じゃ。

 すっぽんぽんが、よっぽど嫌じゃったのか、あっと言う間に装備を整えおった。

 若い男達のプリケツは、良い目の保養じゃったのに、少し残念じゃ。



 頂上から、カスメ領を見下ろすと、豊そうな結構よい統治が出来ておるような、美しい風景が広がっておった。

 目を凝らすと、遥か先にカスメ城が見える!

 美しい城じゃ! 城は破壊せず中身だけ滅ぼすか……面倒じゃが、それだけの価値は有るな。

 領境の山を下ると、のどかな田園風景が出迎えてくれた。


「おっ第一村人発見!」

 村人の第一声

「ありゃりゃ? マンバ姫様でねえか! ようお出で下さった!!」


「おーーいっ皆の衆!! クロノ家のマンバ姫様がお出で下さったぁーーー!!!」

(あれれ? わしは、と言うかこのマンバって人気者?)


 やがて村人が、わらわら集まってきよった。

 てんでに、わいわい語って来る。


 どうすりゃ良い? しょうが無い! 手でも振って置くか。

 途端に、村娘達が「きゃーーーカワイイ!!!」黄色い声でアップアップしそうじゃ。

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