第6話 「意味不明」

*正体不明の訳のわからないやつ

「俺だって!本当に!」

意味が全くわからない。数学の難問よりも意味がわからない。そう、今僕の目の前には死んだはずの親友がいるのだ。しかしながら僕もこいつも実体がある。

「まさか‥‥僕‥‥死んだの⁉︎」

こうなった理由がわからない。僕は電車で家に帰っている途中だったはずだ。本来であれば家の近くの駅にいるはずだ。しかし、ここは家でも駅でも学校ですらもない。

「マジかよ‥‥。めっちゃキリ悪いところで死んだな‥‥。」なぜそう決めつけるかと言うとこいつの実態があり、ゲームのバグとかである“なぞのばしょ”に近いところにいるからだ。しかし、それは違う様で目の前の「わけのわからないやつ」が説明してくれた。

*厨二病か除き魔かその他か

「お前は死んでない。しかし俺は死んだまま。ここに俺も生きてた頃に数回来たことがある。もちろんお前と同じく不意にだけど。ここは【聖と獄の間•夢幻界】言うらしい」

「なるほど。死んだガキは厨二病になるのか‥‥。」

「はぁ?真面目な話なんだよ‼︎後、誰が死んで厨二病になったって?ふざけるのもー」

「お前が死んで厨二病になった」

面倒だからこいつの言葉を遮って繰り返してあげた。わざわざ繰り返してあげたのだから僕は偉い。

「この前、【聖と獄の祭壇】に行くって言われたろ?ここは“能力者”のみが見せられる、【祭壇】からの夢のようなもの。つまり、死者と生存者の会話ができるところってな感じ」

厨二病じゃなくて覗き魔だったか‥‥。いや、ふざけてると疲れるからもうやめよう。

「ここはどこかわかった。早く家に帰してくれ。長話されたせで精神が疲弊しきっている。」

「無理だ。お前の“能力”を使いこなせるまではきっと出られない。ここは【祭壇】がみせる夢だぞ?そう簡単に出られる訳がない。」

使いこなすまで、か。面倒だ。取り扱い説明にあった[虚言の改変]とやらを使ってみるか。

『ドアは自分で作れる。そこから帰れる。』

僕はこう言って手を無空に向かってかざしてみた。すると、ドアが出なかったのだ。明らかにおかしい。説明通りにやったのに。僕は悲しくなり座り込んだ。

「もう駄目だ‥‥生き霊になってしまうんだ‥‥。どうしよおおお⁉︎」

どう言うことだろうか。僕は落下している。人生初の「自分が自由落下」を味わっている最中、あいつは「やれやれ」と言って表情で僕をみている。もうだめだと再び思い、大の字になって目を閉じた。30秒後、目を開けると家の近くの駅のよく分からない所にいた。

*要らない最高記録

目の前にはおそらく休憩中の警備員。それも還暦言ってそうなおじいさんだ。

「大丈夫?電車の中で気絶っぽくなってたみたいだけど、酔いが酷かったのかな?もう19:40だし、その水あげるから気をつけて帰ってね」

と言われ礼だけは言っておかねばなと思い「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしました。」と言い、家へと向かった。そしてやっと帰宅。帰宅までの時間は02:00:00と最高記録である。と言っても嬉しくはないが。僕は遅くなったとだけ言い、残りの1日を過ごした。残るは就寝である。

「もう変な夢は懲り懲りだ‥‥。普通に寝させてくれ‥」

何事もなく寝れた夜だったが、嫌な学校生活が始まると思うと家に帰りたくなる。もう高校生なのにこんなことを考えていいのかと思いつつ正門を通り抜けた。目の前には見覚えしかないシルエットが二つも並んでいるではないか。

あそこへ行ったら多分小声で「遅かったわね」とか煽られそうだ。それを見越して学校の靴箱前ではなく生徒会室へ向かった。

*コミュ障美少女と『闇バイト』

「失礼しまーす‥‥って誰⁇」やばい。敬語を忘れた。

しかし、忘れるほどの美貌を持った美少女がいたのだ。

「もしかして、生徒会のメンバーですか?」

と聞きつつも内心では(こう言う感じの美少女って口悪いタイプが多いんだよなぁ)と言う感じである。

「は、はい‥‥。貴方こそどちら様で?」

陰キャタイプかー‼︎ってアホか僕は!この人は“どっち”なんだろう。確か、確認方法は『闇バイト』だ。物騒な合言葉だが、意味がある。闇は裏のことでバイトは生徒会ってことで、闇バイトそのものである「ばれてはいけない」をモチーフにして作られたそうだ。誰だよこんな物騒な合言葉にしたやつ。頭のネジ壊れたか?頭の中でこんな感じになっているが、こっちに返されたんだった。

「はい。推薦され、加入しました。ところで、『闇バイト』についてどう思いますか?」

あの二人からの忠告を忘れてはいけない。《1.相手が本当の闇バイトをしているとわかったらすぐ110番できるように準備しておくこと。2.自分がしていると勘違いされないようにすること。3.裏生徒会の者でない場合、存在をバラさないこと。》の3項目である。

僕は準備をし、少しだけ身構えた。すると予想を超えた結果が帰ってきた。

「いいものとは思えませんが、貴方はどんな“能力”を扱えるのかが少しわかりました!」

嘘だろ、オイ。見た目身長149〜153cmくらいで小柄な美少女だぞ⁉︎この人、裏生徒会のメンバーなのかよ‼︎

しかも、あの人同様に透視系の能力らしい。

「‥…‥!」

僕は気づいてしまった。なぜ気づかなかったのかがわからないが取り乱してしまっている。

(そんなことを気にする前に本題に戻ろう。この子は何者なんだ‥‥‥。)

僕は考え込んだ。取り合いず自分の席とされている所に座り少し話すことにした。

「僕より上ですか?」

緊張して違うことを聞いてしまった。

「は、はい!学年は同じですど、あとは‥‥うぅっ」

急にもたれ込んだ。話すのが難しいぐらいコミュ障らしい。初対面だ。こんなものだろうと思い生徒会室を出て自分の教室へと向かっていった。

    誓言者と虚言者⑥ 〈完〉






この物語はフィクションです。実際の団体名等は一切関係御座いません。

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正言者と嘘言者 紫樻 @hirune-jikan

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