母の訪問
ワークショップの翌日、意外な客が湖畔の町を訪れた。美月の母、奈緒だ。彼女は美月の絵本の出版を知り、ワークショップを見学に来たかったと言った。
「美月、こんな素敵なことやってるなんて……。お母さん、ほんとに誇らしいわ」
奈緒は湖畔のベンチで、美月に微笑んだ。美月は少し照れながら、隣に座った。
「ありがとう、お母さん。来てくれて、嬉しいよ」
1年前の和解以来、二人は少しずつ関係を修復していた。奈緒は再婚相手と穏やかな生活を送り、美月の活動を遠くから応援していた。
「あなたのパートナー、高瀬さん、素敵な人ね。あなたを大事にしてるのが、目を見ればわかる」
奈緒の言葉に、美月は頷いた。
「うん。悠真の瞳に映るわたし、いつも、愛されてるって感じるんだ」
その夜、奈緒は悠真とも話した。
「高瀬さん、美月のこと、よろしくね。彼女、強い子だけど、時々、傷を抱えるから」
悠真は真剣な目で答えた。
「はい、約束します。美月は、俺の光です。ずっと守ります」
奈緒は微笑み、娘とそのパートナーに心からの祝福を送った。
奈緒が帰った後、美月は悠真に寄り添い、湖を見つめた。
「お母さん、変わったな。わたしも、変われた。君のおかげだよ」
悠真は彼女の髪を撫で、笑った。
「君が強かったんだ。俺も、君のおかげで、姉貴の笑顔、ちゃんと心に刻めた」
湖面に映る桜の光が、二人の未来をそっと照らした。
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