第34話 サンタコスの後日談
☆☆☆
「はあ、まさか終わってからも地獄とは...」
週明け、俺は憂鬱な気持ちになりながら、学校に登校し、部室へと向かう。ミニスカサンタのバイトが意外に好評だったせいで、いろんな人に知れ渡ってしまったらしいのだ。
そのせいで、登校中に声をかけられたり、陰でこそこそ話をされたり、写真を撮られたりしたのだ。まーじでやめていただきたい。特に写真は。普通に盗撮だぞ!
で、学校についてからも同じような反応をされ、萎えているわけだ。もうマジで、ほっといてくれよ。
俺はため息をいつきながら部室の扉を開ける。
「おはざまー...す...!?」
その扉の先には、すごい光景が広がっていた。
まず目に飛び込んできたのは、ミニスカサンタだ。あうあういいながら顔を赤くして、恥ずかしそうにもじもじしている。あえて言おう、超かわいいと。
だが男だ。何を隠そう、ミニスカサンタのコスを着ていたのは、実先輩だった。
そしてもう一人、この場には咲月先輩もいるわけだが...咲月先輩は、トナカイの衣装を身にまとっていた。
そう、衣装。着ぐるみではなくてね。つまりどういうことかというと...
全身タイツに赤鼻とトナカイのカチューシャをつけている状態だった。あえて言おう、えっっであると。
「な、なななななっ...!?」
俺は驚愕しながらも、頭は冷静に働いていたようで、この光景を外部に漏らさまいと急いで扉を閉めてカギをかけた。
「え、えへへ...おはよう、渉くん。どうかな、似合う?」
「え、ええ、めちゃめちゃ似合ってますけど...」
「そ、そう?よかった~...あう、でも恥ずかしい...渉くんはこの状態でお店の前に立ったんだもんね...すごいなあ。」
「ま、まあ仕方なかったんで...でも、なんで実先輩がその恰好を?それと咲月先輩も、なんでトナカイ?」
「ほら、もうすぐクリスマスだから。店長から衣装もらったんだよね。あ、実が着てる奴は、渉くんが着てたやつそのものだからね。」
「はあ、そうですか。着てたやつもなにも、洗ったら全部同じでしょうに。」
「そうだね~...洗ってたら、ね」
...俺はこの言葉の先を聞くのはやめた。
「私のは新品だから何ともないよん」
「それはそれとして、その衣装はなんとかならないんですか。その...いろいろとラインとか...いや、この言い方はよくないか...?」
「ふふ、興奮しちゃった?ま、私ほどのナイスバデーなお姉さんじゃあ仕方ないよねえ?あ、ちなみにこことここには、ちゃんとパットとガードが入って」
「やめて!?生々しい!一番聞きたくない!」
「疑似的に渉くんに包まれてる...ああ...」
「実先輩も正気に戻って!?もうヤダこの人たち!」
俺は部室のなかで一人嘆くのだった。変態集団じゃないからね!誤解しないでね!
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