第2話 視線

「やっぱり、気になるのか・・・?」

「えっ・・・?」


山田の問いかけに声を詰まらせた。

乱暴につぐビールがグラスから溢れそうで慌てて口をつけた。


「ふっー・・・」

半分ほど飲んだ後、大きく息を吐いた。


「はは・・・」

笑う顔にムッとする。


「お、お前なぁ・・・」

「行ってみるか?」


抗議する俺の声が一瞬で遮られた。

むきになる顔が可笑しいのか、アイツが嬉しそうに呟いた。


「戻れるんだよ、あの時間に・・・」

「・・・」


あまりに唐突すぎて。

声も返せない俺だった。


山田は表情も変えずにグラスに残るビールを飲みほした。

ゴクゴクと上下する喉を俺は見つめていた。


「じゃあ、行くぞっ・・・」

空のグラスをテーブルに置くとアイツが叫んだ。


同時に。

視界が白く染まった。


耳がキーンとして。

何も見えなくなった。


そう。

俺は何処かへ飛んでいったのだ。


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