短編集
品川大和
#1『NPC〜何の変哲もないポーション屋の店長』
アルバネス王国有する大陸ガルモナ、その北東にある森付近の小さな町バルザにて…
??「らっしゃい!」
店内いっぱいに声が響く。
ダルス「ここはバルザ1番のポーション屋だ!つってもここしかないがな!ダッハッハ!」
来客の姿を見るやいなや、実に言い慣れたセリフで出迎えたこの男、ダルス。この話の主役である。
??「……」スッ
客人はダルスの言葉には一切反応せず、商品を指差したあと、ひとことも話さぬまま手のひらをダルスに向けた。
ダルス「…回復ポーションを5個かい?」
??「……」コクリ
ダルス「なら50ガルだ」
??「……」チャリン
ダルス「まいどあり」
客人は商品を受け取り店を出た。
ダルス「…今の客、やけに無口だったな。しかも回復ポーション5個なんて、普通の生活だと約3ヶ月分だぞ?」
後に宿屋の店主からあの客は森の反対側、大陸の北東端にあるフォレ村から来た冒険者だと聞いた。
ダルス「名前がアアアだって?妙な名前だが、フォレ村に帰る為ならポーション5個も買うのも合点がいくな。あの森にはスライム程度とはいえ魔物がうようよいるからな。」
〜翌日〜
新聞屋「号外〜!号外〜!」
ダルス「なんだ?いつも王様のお城自慢ばかりの王域新聞が号外?なになに?」
『号外 フォレの勇者王都に迫る闇を討つ』
ダルス「は!?昨日の冒険者じゃねぇか!な んで勇者なんて呼ばれてんだ?」
『王都アルバニアを魔王軍の斥候が襲撃、居合わせたフォレの冒険者アアアが撃退した。その功績を高く評価した国王陛下よりアアアに勇者の称号と共に魔王討伐の任務が与えられた。それに伴い大陸内のすべての国民は勇者アアアの魔王討伐に助力することが義務であるとした。』
ダルス「なんてやつだ…たった1日で王都に着いただけで無く、魔王討伐を依頼されてやがる。…あ、装備も変わっとる。」
〜翌日〜
新聞屋「号外〜!号外〜!」
ダルス「今日もか…」
『勇者快進撃!四魔将を立て続けに撃破!』
ダルス「おいおい…王国騎士たちが長年苦戦していた相手だぞ?この調子だと、明日には魔王を討伐しちまうんじゃねぇか?」
〜2時間後〜
新聞屋「ごっ、号外〜!」
ダルス「まさか…」
『勇者、魔王討伐!大陸に平和をもたらす』
ダルス「……」開いた口がふさがらなかった
『勇者アアアは城にて祝勝の宴を楽しんだ後、故郷フォレ村へ帰還するとのこと。』
ダルス「お!てことはこの町に寄ってくかもしれねえな!盛大に出迎えようじゃねぇか!アイツの事だ、急がねぇと間に合わねぇ。」
ダルスの呼びかけで、バルザ町民たちは勇者アアアの出迎え準備をし、彼の到着を待った。
ダルス「よし!準備完了。いつでもいいぜ、勇者さm」
ープツンー
??「あーあ、もうクリアしちまった。思った以上に難易度緩かったわ。さっさと売って新しいの探そ。」
〜終〜
短編集 品川大和 @tmymt96
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