第9話

 その星の半分は大陸と海で分かれていた。巨大な大陸、ロディニア大陸には多種多様な生物が生息している。星が誕生してから数十億年の地殻変動の最中に起こった奇跡は、最終普遍共通祖先となる存在を誕生させ、数億年の時をかけ、その存在は無数の種に枝分かれした。


 その中で一体どういった偶然か、必然があってかは分からないが人という種はある日突然生まれ、他の種よりも圧倒的に早く生息域を広げ、広大な大陸全土を生息地にした。大陸最北に位置する大陸を横断するようにそびえる巨大な山脈とその先の未知の場所を除けば、人類の足跡がついていない場所はほとんどなかった。


 ロディニア大陸では肥沃で生きるのに適した場所は多くあるが、それが広大な大陸の全てではもちろんなく、当然人が生きるには難しい場所も多くある。しかし人は長い年月の中で進化し様々な種に分かれていく。


 身体能力に優れた種族や、知力に長け技術を生み出すことに秀でた種族、魔法や呪術など超常的な力を生み出し操ることに秀でた種族などの種族に分かれ、混ざり、合わさりを繰り返し、多くの多様な力を持つ種族が生まれ、過酷な環境であっても生息を可能にする力を持つものが多く生まれた。


 他の生物とは比べ物にならないほどの速さでロディニア大陸全土に人の生息域は広がりをみせた。人々は集まり補い合うことで環境に耐え、更にその環境をよりよいものにするための足りないものを補うために更に人が集まり、やがてその集まりは国として形作られた。


 大陸のあちらこちらに大小様々で多くの国が作られたが、漠然とした時を境に人々は国同士で争いを始めた。住みよい土地を奪うため、種族の尊厳を守るため、私欲を満たすため、悪政を正すため等々、様々な理由で争い、以降人の歴史の大半は争いの繰り返しで出来上がっていった。


 多くの争いがおこり、多くの国が滅び生まれ合わさりが繰り返された。そして人の歴史の節目となる時代、大小の国同士が群雄割拠し争い収束し、ロディニア大陸を二つに分ける巨大な勢力が誕生した。


 大陸を東西に分け、大陸東の中心に首都を置くバージェス王国、大陸西の中心に首都を置くアルゴヴァ帝国。両勢力とも争いによって自国を大きくしたが、ある期を境に圧倒的な武力を持つことになったこの二つの勢力と争うことを多くの国が避けた。属国となったり、同盟を結ぶなどが相次ぎ、結果大陸の勢力が大きく二分される事になった。


 大きくなりすぎた両勢力は、それぞれが自らが持つ国力や武力を正しく認識しており、両勢力が正面からぶつかることになれば多くの血が流れるばかりか、人という種の存続すら危ぶまれる程の絶え間ない戦火に飲み込まれてしまうことをお互いの勢力が理解していた。


 歴史上もっとも大きな争いとなったある戦争を切っ掛けにし、これ以上の対立を避けるために両勢力間で友好を結ぶことになった。水面下での小競り合いはあるものの表立った争いは、この時よりなくなった。


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