4日目

まだ暗く、霧が立ち込める中雨という可能性を秘めた黒い雲が、僕たちの上に渦巻いているのを夢うつつななか見ていた。


 つぎ、目を覚ました時に可能性は降り注いでいた、じめじめして、何かがまとわりつく感覚があって雨は嫌いだ、それに何か嫌な予感がする。

朝7時、流石に起きるのが早かったな、散歩もできないし本でも読んで時間をつぶそう。


あれ...火がつかない、オイルも持ってきていない、これは禁煙生活のはじまりか?


 だがまだできることはある、火のついていない煙草をもって台所へ走る、点火する。

そう、コンロである、火をつけた後ひったくり犯かのように自室にとんぼ返りした。

今回はこれでよかったが次もこれができるとは限らない、マッチでもいいから買いに行かなければいけないが、めんどくさすぎる。


 支度を終わらせて玄関のかさおきから埃のかぶった傘を選び外に出る、フクシマってスーパーがあるって聞いたな、探すかぁ。


 随分と歩いた、超きょろきょろしながら歩いた、だが見つからなかった、雨と焦燥感が強くなるにつれ僕の中の悪魔が耳元で囁く

(あきらめて帰っちまえよ、ほんの少しの期限なんだから我慢できんだろ)

たしかにそうだな、帰るか。


 家の前につくとおばあちゃんの短い叫び声が玄関から響いた


<なぁんだ、爺さんが地獄から戻ってきたかと思ったよ、髪色以外はこう見るとそっくりだねぇ>


「爺さんじゃなくて悪いね」


<にしてもひろくんこんな時間に何しに行ってたの、散歩?>


「ライターがつかなくなったからフクシマってスーパーにマッチかなんか買いに行こうと思ったんだけど見つかんなくてさ」


『馬鹿ね、フクシマはあんたが来る少し前につぶれたわ、それにこの家にもマッチくらいあるわよ』


<ひろくんに話したのはスーパーがつぶれて不便だって話よ、話聞かないとこも爺さんそっくりね>



 嫌な予感ってのは的中するらしい、れいかからマッチを受け取り自室に戻り火をつけた。

ちりちりと心地よい音を奏でている、市販の中で4番目くらいにメンソールが強いんじゃないかな、そんなことをおもい火を消して布団にもぐる。


煙草臭くてしょうがない。





 

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