1回戦カバレージ 《幼馴染》vs《謎部活》
90%のデッキが《むちむち》を採用している本大会のメタゲームからは多様性が失われているだろうか?
古豪・橘のデッキを見るとこの質問に否と答えたくなる。
関東屈指の強豪として知られる彼女が選択したのは何と《むちむち》を採用した《暴力》入り《幼馴染》ビート。
かつて一斉を風靡した《暴力》ヒロインだが、近年では目立った強化がなく完全に環境の外へと追いやられていた。
古のトップメタは令和の《むちむち》といかなるシナジーを見せるのだろうか?
一方、若き俊英・星野が選択したのは《謎部活》アグロ。
《ギャル》に押されて大きく数を減らしているものの、《むちむち》の攻撃力と《謎部活》の拘束力は未だ健在。令和ラブコメ環境を象徴するデッキだ。
古豪の意地を見せるか、新鋭が新たな風を吹かせるか。注目の1回戦、緒戦を制するのははたして……
●ゲーム1
コイントスの結果先行は《謎部活》の星野。これには橘も苦い顔。
なぜ橘は苦い顔をしたのか?それに答えるかのように星野は《噂の変人》から《謎部活》サーチ後即セット、《先輩》と《二人きり》の部活で《好きなことに夢中》な先輩が《無自覚ハプニング》を起こす王道展開へと繋げる。
後攻・橘、手札が悪くこの展開を止められない。自ターンでなんとか《腐れ縁》を発動するも引いたのは《同じクラス》と《一緒に帰ろ?》。どちらも本来なら強力な属性だが、二人っきりの部活を中心に展開していく《謎部活》には無力だ。
主人公を惑わす女狐をどかさなければ話にならない橘だが、《無自覚》な先輩相手にはのれんに腕押し。
星野が《巨乳》《むちむち》から再び《無自覚なハプニング》を起こしたところであえなく投了となった。
星野(《謎部活》)1 ― 0 橘(《暴力》入り《幼馴染》)
1ゲーム目は一方的な展開で押し切られた橘。しかし、彼女に焦りはない。
先手の取りやすさから《幼馴染》を攻撃的なアーキタイプと誤解している方も多いだろう。
だが、巧者の握る《幼馴染》は……後手に回ってからが強い。
●ゲーム2
先攻・橘は《腐れ縁》で引き込んだ《幼馴染》を《同じクラス》に着地させる静かな立ち上がり。
対する星野は1ゲーム目と同じく《噂の変人》から《謎部活》セット、1ゲーム目の蹂躙を再現するように《先輩》を展開し《二人きり》へと繋げていく。
しかしここで橘が《二人きり》に対して《対抗心》を発動!私が見張っていないとあんたが何をするか分からないから!と言わんばかりに《謎部活》へ入部し《二人きり》になることを防ぐ。
星野、手札を睨んで僅かに悩むもこれを通す。
《無自覚》故に新たなヒロインをライバルとみることが出来ずむしろ新入部員を喜んでしまう《先輩》の性質故に通さざるを得ない。
続くターン、橘はドローをしてターンエンド。《幼馴染》は距離感の近さ故に能動的にイベントを起こすことが難しいが……
星野の《密着》に橘、必殺の《対抗心》!
能動的に動けない《幼馴染》も他のヒロインが起こしたイベントに対抗する形でならイベントを起こすことが出来る!しかも無自覚な先輩と違って《恥じらい》と《ギャップ》も抜群。テンポを失った橘は苦しい展開を強いられる。
その後、ドローしてターンを渡す幼馴染・橘と攻めあぐねる謎部活・星野の睨み合いが続く。
膠着を破ったのはなんと幼馴染・橘。
長い
返すターンで謎部活・星野は《夏合宿》をプレイ。
一気にカードを使った橘に妨害はもうないと見て勝負をしかける。《夏合宿》は部活ならではの大イベント、決まれば一気にリーサルだ。
自ターンの展開でリソースが尽きた橘はこれをスルー。星野は《夏合宿》でサーチした《水着》を展開する。
だが、ここで橘、代替コストで《羞恥心》を捨てて《対抗心》を放つ!さらに《羞恥心》の墓地効果で自らの《水着》をサーチしたところでゲームエンドとなった。
星野(《謎部活》)1 ― 1 橘(《暴力》入り《幼馴染》)
1ゲーム目とは打って変わって《幼馴染》の強みを見せた橘。しかし続く3ゲーム目の先手は1ゲーム目と同じく《謎部活》星野。果たして橘に対抗策はあるのか……
●ゲーム3
先攻星野、1ゲーム目と同じく《噂の変人》から《謎部活》サーチ後即セット、《先輩》と《二人きり》をセットしていく。
橘は代替コストで《羞恥心》を捨てて《対抗心》キャスト、《二人きり》になるのを阻止していく。
《謎部活》ロックを防いだ橘。返しのターンで《腐れ縁》から《幼馴染》を《同じクラス》に着地。
さらに《羞恥心》の墓地効果で《幼馴染》を《むちむち》にすることに成功する。
このまま2ゲーム目の再現になるのかと思われたが……続くターンで星野、サイドインした《廃部の危機》をプレイ!《二人きり》になるのを防いだのがあだとなり、《幼馴染》も部員数にカウントされてしまう。
《廃部の危機》の効果で新たに新入部員を横に並べる星野、さらに手札に温存していた《むちむち》を使い部活を一気に疑似むちむちハーレムへとしていく。
ヒロインが増えると弱くなってくるのは昔から変わらぬ幼馴染の弱点。状況は一気に星野へと傾く。
事実上のラストターン、橘は祈るようにカードを引き……即座に盤面へと叩きつけた。
《ふともも》
ここで星野、首をかしげる。《ふともも》は《むちむち》とシナジーのある《エッチな》カードだがこの盤面を覆せるほどのパワーカードだろうか?
星野の疑問に答えるように橘、キーカードの《暴力》をキャスト。平成環境では環境を支配したカードであるものの、令和ではパワー不足と思われていた、が……
ここで星野があっと声を上げる。《むちむち》な《ふともも》……まるで丸太の如きふとももから放たれる《暴力》が突き刺さる!カードパワーが足りなければあげればいいという強引すぎる考えかた!なんということだ!ジャンルが違う!ダメ押しの《巨乳》!それは大胸筋じゃないのか⁉
星野の抗議もむなしく、全てを暴力で破壊した《幼馴染》が1回戦の勝者となった……
星野(《謎部活》)1 ― 2 橘(《暴力》入り《幼馴染》)
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